ミセスGのブログ

海外ドラマ&映画の感想をパンピー視点で書いてる。

【ヘイトフルエイト】映画の感想:長い、しつこい、つまらない、でも面白い

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ヘイトフル・エイト

数か月前に手術を受け、辛いリハビリの日々を過ごした末に円形脱毛症が出来てしまっていた我が子。気が付いたら、うっすらとハゲの部分から薄毛が生えてきていました。精神的に楽になってきたのでしょうか。

そんな娘は祖父(我が父)が大好きで(昔から無類のジジ専だと評判だった)、祖父といつもつるんでいるために言葉遣いが祖父になっております。

「これ食べていいよ」と娘に言うと

「これ食べていいのか?」と返すし

「あら?跡ついてるかな?」と言うと

「跡ついてんのか」と言います。

「この公園すごい」と言うと

「この公園すごいな。綺麗だな。」と言うし

「スカイツリーよく見えたね」と言うと

「スカイツリーよく見えたな。良かったな」と言います。

私にはもったいないほど、思いやりがある子でございます。

さて、先日観た【イングロリアス・バスターズ】が面白かったので、続いてクエンティン・タランティーノ監督の【ヘイトフルエイト】を観てみました。

 

【ヘイトフルエイト】作品情報

原題:Hateful 8

公開年:2016

監督:クエンティン・タランティーノ

出演:サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・マドセン、ティム・ロス、ジェニファー・ジェーソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、ブルース・ダーン、カート・ラッセル

上映時間:私が見たバージョンは2時間47分

タラちゃんの8作目の監督作品はまさかの2時間47分。

なぜグラインドハウスにしない。劇場に足を運んだ方はさぞかし疲れたことと思います。3時間強って…国内飛行機乗ってるより長いじゃないの!

 

【ヘイトフルエイト】あらすじ

猛吹雪の中の家屋に閉じ込められた8人を主題に密室劇を描いたミステリー映画・西部劇。

時は南北戦争後、ワイオミングだかコロラドだかの雪深い一軒家に偶然必然居合わせた8人(男7人とジェニファー・ジェーソン・リー)。

この中にアジェンダを持つ者がいた。家屋の8人は、一人また一人と消えていく。

 

【ヘイトフルエイト】感想

3時間という長さ及びタラちゃんお得意の登場人物による戯言スピーチの相乗効果と相まって、ベッドで寝落ちしまくることしきり。4日か5日かかってやっと最後まで観終わりました。ドラマ観てるのと変わらんわ。

でもちょっと待ってくださいねー賢い読者の方ならお気づきであろうが、面白くないとは言っていません

まずこの映画の評価ポイントは、ワイオミングだかコロラドだかの雪山の景色やステージワゴン(馬車の人が載るところ)のシーン、吹雪の中を走る馬車など俗界を離れた心洗われる風景を美しく魅せ、一軒家の中の永遠とも思われるショットを上手に映してくれたロバート・リチャードソンと、その情景に合わせた曲を提供したエンニオ・モリコーネ、この二人のパフォーマンスに尽きる。

リチャードソンはアカデミー撮影賞、モリコーネはアカデミー作曲賞、ゴールデングローブ作曲賞を受賞していることからもお察し、まあ誰も文句ないでしょ?

その後、映画の3分の1を過ぎて、サミュエル・L・ジャクソン演じるウォーレン大尉、賞金稼ぎのカート・ラッセル、そのカート・ラッセルがトッ捕まえた女犯罪者ジェニファー・ジェーソン・リー、そして彼らの目的地であったレッド・ロックの新しい保安官として赴任予定(と本人が主張する)のマニックスの4人が舞台となるミニーの店に着いたあとは、タラちゃんのマスターべーションが炸裂する。

山奥の家屋での密室劇でタラちゃんの映画の特徴である「終わりなき喋くり」「大胆過激なアクション」「タブーワード」といったお馴染みの光景が続くのだが、普段ならエンジョイできるタラちゃんの映画の台詞は、正直、本作ではあまりおもしろくない。

ドアを板と釘で打ちつけるシーンは3回か4回も繰り返されることから、タラちゃんが脚本に自信を持って監督していて誰も止めようとしない撮影風景が伺える。

ジェニファーが「ドアを蹴り開けるのよ!」とやかまし声で叫んでカートラッセルに「うるせえ!」と叱られるシーン、通常なら、ここで視聴者をクスッと笑わせてドアwith釘&板はお役ごめんを頂戴つかまつるはずなのだが、誰もタラを止める人がいないのか、タラちゃんの趣味で何度も同じシーケンスが繰り返される。

困ったことに駄話だと思って聞いていると、内容に関わってくる大事なことを言ってたりもするのでうかうか寝落ちしてられない。4回したけど。

8人の密室劇と聞いて、タラちゃんの名作「レザボアドッグズ」を想起した人も多いだろうし、タラちゃん自身もきっと「レザボアのエネルギーを今一度。でも今回はさらにバージョンアップして『アガサ・クリスティ』を西部劇にしてやる」と意気込んでいたはずだ。

そういうわけでティム・ロスやマイケル・マドセンといったレザボアドッグズの曲者どもも劇中の8人の中に存在している。

しかしながら本作はレザボア・ドッグズとはまったく似て非なるものであり、レザボア・ドッグズを含めたタラちゃんの前7作の焼き直しという印象がどうしても拭えなかった。

冒頭のリチャードソンの撮影術とモリコーネの楽曲以外で良いところといえば、人種間の殺し合いというポリティカル・コレクトネス的にキワドイ主題にブラックユーモアを忘れないところがタラちゃんらしい(さすがにニガーを連発しすぎの感もあるが)。

批評の中にはヘイトフルな8人を触媒にした人種差別の悲劇という視点もあるだろうが、それはタランティーノ監督の意図を正しく表していないと思う。なぜならタランティーノ監督は寓話を書かないからだ。白だろうが黒だろうが茶だろうがいけ好かないやつはいけ好かないし、違う色でも信頼できる奴がいることも事実、勧善懲悪の前に肌の色はまったく関係ないというのがタラちゃんが描くものであり、肌の色の前にキャラありというタラちゃんらしいフラットさが見られるので、人種問題を扱っていても説教くさくならない。あざとくない。

あとは紅一点のジェニファー・ジェーソン・リー。90年代に「黙秘」「ショートカッツ」「ルームメイト」「バックドラフト」など活躍していた女優ですが、その後も色々な作品にチョコチョコ出ている息の長い女優だ。もともとヒール役も厭わない根性ある女優だったけれど、本作でもアカデミー助演女優賞にノミネートされるだけあって面目躍如たる活躍を見せ、多くの観客を魅了したに違いない。

それから血の量がやけに多いと思ってたけど、ウォーキング・デッドのグレッグ・ニコテロさんが特殊メイクを担当している。