「ドラゴンタトゥーの女」ハリウッド版リメイクを視聴した感想です。
ドラゴンタトゥーの女がパンクロックでエッジィすぎて、今までとても見る気が起きなかった作品でしたが・・・
割とおもしろいじゃん、何スルーしちゃってんNO、BBA
映画の食わず嫌いは良くないことを実感したサスペンスでした。スウェーデン版オリジナルの「ドラゴンタトゥーの女」も観たくなりました。
【 ドラゴンタトゥーの女】シリーズについて
まず、私だけかもしれませんが、混乱していたので整理します。
「ドラゴンタトゥーの女」はシリーズもので、映画は複数本作られています。
主人公のジャーナリスト「ミカエル」と天才ハッカーのソーシオパス「リズベット」が事件を解決する内容で、それぞれが完結している話です。
もともとはスティーグ・ラーソンの処女作にして遺作の推理小説「ミレニアム1・ドラゴンタトゥーの女」が原作となっています。それを映画化したものが、2009年公開のスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」です。
ヨーロッパで大ヒットしたため、次いで本作「ドラゴンタトゥーの女」がハリウッドでリメイクされた経緯です。
スウェーデン版では、第2弾「火と戯れる女」、第3弾「眠れる女と狂卓の騎士」がすでに公開されています。この3部作が「ミレニアム3部作」と呼ばれていて、いずれも2009年に公開されています。
- ドラゴンタトゥーの女(2009年)
- 火と戯れる女(2009年)
- 眠れる女と狂卓の騎士(2009年)
- ドラゴンタトゥーの女(2011年)本作
- 蜘蛛の巣を払う女(第4弾:2018年製作予定)
ハリウッド版リメイクの続編は、当初「火と戯れる女」の製作が予定されていましたが、急きょ変更されて第4弾の「蜘蛛の巣を払う女」に決定しました。なんで?
第4弾の「蜘蛛の巣を払う女」にはダニエル・クレイグとルーニー・マーラは出演せず、スウェーデン人のスベリル・グレドナソンがミカエルを、クレア・フォイがリスベットを演じることが決まっています。
視聴者としては、やはりシリーズものは是非ともオリジナルのキャストで続けて欲しいので残念です。
【 ドラゴンタトゥーの女】作品情報
原題:The Girl With The Dragon Tatoo
製作年:2011年
上映時間:158分
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ
言語:英語
ジャンル:サスペンス
【ドラゴンタトゥーの女】あらすじ
月刊誌「ミレニアム」で大物実業家の不正行為を暴いたジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)。
そんな彼のもとに、ある大財閥会長から40年前に起こった兄の孫娘失踪(しっそう)事件の調査依頼が舞い込む。
連続猟奇殺人事件が失踪(しっそう)にかかわっていると察知したミカエルは、天才ハッカー、リスベット(ルーニー・マーラ)にリサーチ協力を求める。
【ドラゴンタトゥーの女】感想
簡単に言うと、ジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)と天才ハッカーのリスベット(ルーニー・マーラ)が猟奇殺人事件の真相を探って犯人を見つける話です。
リスベットを演じたルーニー・マーラは本作でたいそうな高評価を得ています。
関係ないんですけど、ルーニー・マーラをマーラ・ルーニーさんと言っちゃう。
まさかの158分という驚異の長さですが、それほど長いなぁと感じなかったので、おもしろかったんだと思います。
「おもしろかった」でなくて「おもしろかったんだと思います」というのは、これもデビッド・フィンチャーらしい一作で、お腹いっぱい楽しめた~というよりは腹八分目の面白さだからです。
デビッド・フィンチャーの作品は、どれをみてもいつも腹八分目の面白さなんですよね。セブン、ファイトクラブ、ゴーン・ガール、ゲーム、ゾディアックなど。最近ではNetflixのドラマ「マインドハンター」も面白かったですけど、どうしても腹八分目。
「すっごい面白かった!」には決してならないのが、私の中でのフィンチャーの印象です。本作も例に漏れず、腹八分目におもしろい作品でした。
長いなぁ~とは感じませんでしたが、要らないシーンも多かった気がします。特にミカエルとリスベットの二人が実際に顔を合わせるまで、1時間近くかかってるんですよね。「一体いつになったら合流すんだ、この二人」とやきもきさせられました。
リスベットがソーシオパス的存在なので、二人のインタラクションも最小限です。ベッドシーンなんかはありましたが、リスベットがそれはそれはか細くてペチャパイでスタイルも良くないので、ダニエル・クレイグの渋いマッチョボディとそれは合っていなくてですね。
眉毛もブロンドに染めているのはなんでなの。眉毛がないと怖い。エキセントリックなのは分かるけど、眉毛をブロンドに染めなくとも。
リスベットというキャラはなかなか新鮮です。女ジェイソンボーンとかニキータみたいな頭が良くて腕も立つという万能キャラじゃなくて、あくまで生身のリアルな人間で、ちょっと精神的に問題がある天才ハッカーなんて設定がいいじゃないですか。
人気ドラマ「ホームランド」のキャリーも双極性障害を抱えている設定でしたよね。今の時代、メンタル100%健康な人のほうが珍しいんで、なにかしらの問題を抱えているキャラというのは時代にも合っていて共感しやすい面があるかもしれません。
とはいえリスベットは共感するキャラというよりは、むしろ何を考えているのかわからないし、何をするのかわからない危うさを持ったエキセントリックなキャラです。そんなリスベットが、ミカエルを救ったり、最後にやきもちを焼いたりするもんだから「リスベットも私たちと同じなんだなぁ」とそこで初めて親しみをもって終わる。このリスベットというキャラの紹介の仕方は好きです。リスベットの感情を小出しに見せて終わっているので、続編が楽しみになるような終わり方なんです。
ところがハリウッド版の続編はやっと2018年に製作開始ということで、ずいぶん長くかかってしまいましたね。これは残念!
というわけでスウェーデン版の第2弾「火と戯れる女」を次回は見てみようと思います。
肝心のストーリーですが、この映画は一つだけ大きな過ちを犯しました。
それは・・・
真犯人が出てきた瞬間に「あ、こいつや」と分かってしまうことですね。
これはサスペンスとしては致命的なミスです。
火サスを見ていて遠野凪子を見た瞬間と同じくらいのボディブローを食らいます。
そうと見せかけて違ったならどんなに良かったことか。
あと天才ハッカーのわりにハッキングの見せどころが全然ないのが物足りなさを感じました。ハッキングせずにリサーチばかりしています。
ダニエル・クレイグは3月2日に50歳になります。あの体はとても50歳とは思えません。
レイピストを演じていたヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲンはイイ感じでキモいおっさんになり切ってましたね。どこかで見たことある顔だな・・・と思ったら、「フォース・ダウン敵地脱出」の叔父役のおじさんですね。こういう顔好きなんですよね。
サスペンスが好きな方なら見て損はない一作だと思います。
評価:70点