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【REVENGE リベンジ】映画の感想:ビジュアル系レイプリベンジ!時々コメディ!

REVENGE リベンジ 映画の感想

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レイプリベンジものは見逃さない!

映画「リベンジ」を見た感想です。コナスーの「リベンジ」でも、ドラマの「リベンジ」でもないよ。2018年7月7日公開の「リベンジ」だよ。

ツッコミどころ満載とか言っちゃいいけない。これはレイプリベンジ映画と見せかけたコメディなのである。

 

【REVENGE リベンジ】作品情報

原題:Revenge

公開年:2018

監督:コラリー・ファルジャ

出演:マチルダ・アンナ・イングリッド・ルッツ、ケビン・ヤンセンス、ヴァンサン・コロンブ、ギヨーム・ブシェド

上映時間:108分

言語:英語・フランス語

主演のマチルダさんは本名が長いので、マチルダ・ルッツと覚えてください。

いちおうアメリカ映画となっていたけれど、男たちがフランス語を喋るのと、カナダがどうのこうの言ってるので、カナダ人の設定かな?

登場人物はたったの5名。

  • ジェン(マチルダさん)
  • ジェンの彼氏リチャード(妻子もち、そばかすケツアゴ)
  • 彼氏の仕事仲間1(鼻デカ)
  • 彼氏の仕事仲間2(デブ)
  • ヘリ送迎係

 

【REVENGE リベンジ】あらすじ

富裕な中年男CEO3人が砂漠のキャニオンの一軒家に集まる。3人は毎年、狩りを楽しんでいるらしい。・・・砂漠で何を狩るというのだろうか?

3人とも結婚しているが、リチャードは若い浮気相手ジェンを同伴していた。リチャードが不在のとき、ジェンは鼻デカにレイプされてしまう。

ジェンは「今すぐ家に帰りたい、ヘリを呼ばなければ妻にすべてを話す」というと、リチャードが逆上!ジェンを殴る。ジェンは家から裸足で逃げだす。リチャードはジェンを懐柔するフリして崖から突き落としてしまう。

ジェンが死んだと思った3人だったが、ジェンは生きていた。ジェンを追う3人にリベンジを誓うジェン。

 

【REVENGE リベンジ】感想

予告編詐欺はよくあるけど、これはいい方の詐欺だった。

レイプリベンジものは、取り扱うテーマがテーマなので、ダークで陰湿で胸糞悪いものが多い。しかし本作はツッコミどころがけっこうあって、それが笑いに変わるという妙な明るさを内包した映画である。

少なくとも私は後半3回くらい大笑いしてしまった。たぶん、日本の映画館で見ていたとしても笑いを堪えきれず、ブファッ!と吹き、「何あの人…」といつもながら変な人だと奇異の目で見られていたに違いない。

この笑いのレベルはニコラスケイジを見て笑う時と似ているので、ニコラスウオッチャー会員2番のふかづめさんはちゃんと見るように。

砂漠で逃げたり追っかけたり隠れたりを撮るのは非常に難しいが、本作はよくできていた。舞台が森の方ができることも多くて面白そうな気もするが、ビジュアル的に美しい本作に砂漠の情景がマッチしていた。

そう、ビジュアルがとても美しいのが本作の一つの特徴である。砂漠にぽつんと立つ一軒家(別荘)も、ピンクとブルーの窓をはめていて、その窓越しに男たちと向き合うと画面色がピンクになったりブルーになったりして、なんともアーティスティックだ。

ジェナがかじったリンゴに蟻がたかる様子はその後のジェナにふりかかる悲劇を暗示しているし、鼻デカが小便でクモを溺れさせる様子はその後に湖に浮かんでくる溺死体といったように、細かい描写もアーティスティックで、トム・フォードを連想させた。

ヒロインのジェンを演じるマチルダはイタリア出身。ジェンは最初は完全にパリピで、下着姿でウロウロしたり、男たちを挑発したりする。

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ロリポッパーのジェンとそばかす既婚彼氏

そんなジェンは男に凌辱され、さらに殺されそうになる。ボロボロになって奮起したジェンがこちら。美しいブロンドは血と泥で真っ黒になり、体中傷と泥だらけだが、こちらの方が何倍も魅力的に感じた。

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なお、ジェンは開始26分後からは、セリフがほぼ一言もない。これはリアリティがある。

レイプリベンジもので有名な発情アニマルやアイ・スピット・オン・ユア・グレイブ、鮮血の美学などは、被害者へのレイプが残酷であり、暴力描写がことさら激しい。それに呼応する形で犯人たちへのリベンジも周到に計算され、残酷である。

一方、本作のレイプシーンには直接的な絵はない。崖から落とされて、下にあった木に串刺しにされてしまうのだが、それは偶然起きたことであった。そのため、ジェンのリベンジは男たちを痛めつけて苦しませるという意図はなく、男たちを片づけて生き延びるというシンプルなものであり、砂漠という環境下で繰り広げられる戦いは、もはやレイプリベンジよりサバイバル。ジェンは女ランボーなんだ。

このシンプルな攻防と、それ以前の男たちがジェンを舐め回すように見る視線や、密室での男の言葉によるプレッシャー、ハラスメントは、上記レイプリベンジもの作品よりリアリティがある。

突っ込みどころはホラー映画並みに多い。普段の私は、ツッコミどころが多いとバカバカしくなって映画の評価が下がってしまうのが、本作はそのツッコミどころが徐々にどうでもよくなってきて、それが見せ場にもなってきてしまう。そのとき気付くのだ、本作はコメディなのだと。

まず、ジェンは崖から突き落とされて串刺しになったのに死なない。20mはあるであろう高さから落とされ、木にくし刺しになり、炎天下の中、置き去りにされ、多量出血しているのに死んでない。

だが、ここで「ありえねー」と思わないでほしい。コメディなんだ!

ありえねーはまだまだ続く。

ジェンはエビぞりになったまま、ライターに手を伸ばし、木の根元に火をつけて木を燃やして倒し、エビぞりから脱出する。

そんなバナナ。

コメディなんだよ!

その後、ジェンは腹に木を串刺しにしたまま、大量出血しながら、裸足で炎天下の砂漠を歩いて行く。

私は2度体にメスを入れたことがあり、それぞれ10cm以上もあるのだが、丸一日も経っていないときに歩くのはほぼ不可能である。2日目でも起き上がるのにやっとという状態だ。起き上がるにも腹部に力がかかるので、手すりにつかまって腕力で体を起こすしかないほど、力が入らないのである。個人差もあるだろうが、歩けるようになるのは3日めくらいからだろう。

しかしコメディだから、ジェンはあきらめない!

腹にささった木、どうすんだろうと思っていると、冒頭でヘリ係がくれた強烈なドラッグをペンダントの中に入れていたことに気づく。ああ、神様。ドラッグがジェンの命を救うことになるとは。痛み止めはどこへ行くにも常備しておこう。

止血に使ったアルミ缶の鷹の絵がジェンの腹に移ったのもロマンがある。でも後ろの穴を忘れているよ!コメディだから。

いちばんおもしろかったのはレイピストの鼻デカ男。鼻デカイなーと思ってるファンの心をくみ取った監督は、アルファ男のケツアゴ(ジェンの彼氏)に鼻デカを殴らせ、鼻を折るという匠の技を見せてくれる。

鼻デカはジェンとの攻防で私を存分に笑わせてくれた。ジェンは300m近くありそうな場所からショットガンで狙撃しようとするし、ジェンが置いたガラスを鼻デカが踏んだり、踏んだ足でアクセルを吹かして、大出血させたり。

最後は彼氏だったケツアゴとの一騎打ちだが、ケツアゴはショットガンで腹を撃ち抜かれるも、その後も走りまくる。撃たれた腹の位置がジェンが串刺しになった腹の位置と同じなのも憎らしい演出である。

最後の舞台となる一軒家は、リビングから後ろのキッチンや廊下をぐるりと一周できるようになっているのだが、ここでジェンとケツアゴは常人ではない多量の血をまき散らしながら、10回ぐらいグルグル鬼ごっこを繰り広げる。全裸で血だらけのままグルグル回るケツアゴのアップ画面に大笑いした。本作に出てくるキャラたちは20L以上血を流しても生きている。

本作は、このあり得ないことだらけの設定がアーティスティックなクールさと妙にマッチしていて、ツッコミどころさえ味方にしてしまった作品なのである。この辺はタランティーノ作品に通じるものがある。なんとなく80年代の雰囲気があるのもよかった。

グロは少ないが、血の量がハンパない。監督によれば、撮影でフェイク血が毎回足りなくなったということだった。

本作も晴れてGのレイプリベンジ映画リストにランクインすることが決まりました。

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評価:70点