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Netflix【ナルコス】シーズン3の感想:超ハラハラドキドキ!コロンビアの麻薬組織カリ・カルテル

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ナルコス シーズン3/Netflix

Netflixオリジナルドラマ【ナルコス】シーズン3の感想です。シーズン2に続いて、超ハラハラドキドキが終始続きます。シーズン3も最高に面白かったっです。

【ナルコス】シーズン2の感想はこちら。 

【ナルコス】シーズン3

コロンビア最大の麻薬カルテル組織メデジン・カルテルを築き上げた麻薬王パブロ・エスコバール。「ナルコス」シーズン2では、警察当局がパブロ・エスコバールを最後に仕留め、長い麻薬戦争がついに終息を迎えたと思いきゃ、そんなわけはありません。

メデジン・カルテルの開けた力の空白は、コロンビア第二の麻薬カルテル「カリ・カルテル」がしっかり埋めます。世界の麻薬8割を支配していた目の上のたんこぶパブロ・エスコバールを排除することに成功し、その利益をすっかり横取りできたのですから、笑いが止まらなかったでしょう。

シーズン2でメデジン・カルテルがコロンビア政府と警察との対立で衰退の一途を辿る一方、カリ・カルテルは裏で警察の後押し。「パブロ・エスコバールに虐待された人」を称するロス・ペペスという闇の組織がメデジン・カルテルのメンバーやパブロの身近な人たちを殺害していきます。

ドラマでは、カリ・カルテルがこのロス・ペペスであると描かれていますし、市民の間ではそう認識されています。しかしロス・ペペスの出自は明らかになっておらず、デルタフォースの関与も疑われているそうです(パブロ・エスコバル - Wikipedia)。

パブロ・エスコバールの死をもって名実ともに最大の麻薬カルテルとなったカリ・カルテルは、その後、世界のコカイン80%を支配していきます。

カリ・カルテルの設立者はヒルベルトとミゲルのロドリゲス兄弟。この二人+パチョとチェペの二人の計4人がカリのゴッドファーザーと呼ばれるリーダーです。

パブロ・エスコバールが伝統的でヒエラルキー型の地域に根付いたカルテルだったのとは対照的に、カリ・カルテルはフランチャイズ型のビジネス色の強いカルテルでした。

パブロ・エスコバールが麻薬王であることを隠さず、政治家にも立候補するなど、表舞台を好む一方で、カリ・カルテルのロドリゲス兄弟は裏舞台を好み、銀行や薬局チェーンを買収して経営し、裏でコカイン密売を展開していました。

カリ・カルテルの情報網はすさまじく、アメリカの捜査当局でさえ出し抜かれたということです。この点は本作ナルコスでも十分に描かれており、麻薬カルテルの組織力の凄さに視聴者は驚嘆すると思います。

カリ・カルテルは、メデジン・カルテルとの抗争で武闘派に切り替わり、メデジン・カルテルが消滅したあとは、名実ともに最大の麻薬カルテルとして名を馳せます。現在の麻薬カルテルはメキシコが有名ですが、メキシコ経由でコカインを運ぶようになったのは、カリ・カルテルが逮捕のリスクを減らすためにメキシコのカルテルと協定を結んだためです。

コロンビアのパブロ・エスコバールのメデジン・カルテルが壊滅し、今度はカリ・カルテルのゴッドファーザーが収監、殺害されて衰退すると、2000年頃からメキシコのカルテルが急速に力をつけて行きます。あとは皆さんご存知の通り、2005年頃からメキシコ麻薬戦争が激化していき、現在に至ります。

とするとナルコスはこのままメキシコのカルテルに舞台を移すようですね。この間、撮影場所を探していた本作ナルコスのクルーがメキシコでハチの巣にされてしまいましたので、本当にシャレになりません。

 

【ナルコス】シーズン3の感想

シーズン2に負けず劣らず面白かったです。ハラハラドキドキ度は、シーズン3の方が増しています。その理由はなんといってもホルヘさん。ホルヘさんは、もともとカルテルのメンバーではなく、カルテルのセキュリティ係を請け負っていた堅気の人です。

ホルヘさんは払いがいいのでうっかり仕事を請け負ってしまったのでしょう。自分でセキュリティ会社の起業プランがあったため、辞めようとするのですが、カルテルに一度足を踏み入れたらカルテルが死ぬか自分と家族が死ぬかのどちらかまで辞められません。気付いた時にはどっぷりカルテルの中枢に組み込まれてしまいます。

そんな堅気のホルヘさんなので、堅気の視聴者が感情移入しまくってしまい、気分はまるでホルヘさん。ホルヘさんはカルテルのセキュリティ担当なのに、銃さえ持たないほど真面目な普通の人でした。

このホルヘさんの視点がとにかくドキドキしてしまって、美しい妻と二人の幼い娘がいることもあって、生きた心地がしませんでしたよ。しかしホルヘさんの強運も凄いものがありましたね。

シーズン2のキャストもとっても良かったですね。ナルコスは全編ちゃんとスペイン語なのが良いです。シーズン2まではDEA(アメリカ麻薬捜査局)のエージェントの一人スティーブンがスペイン語話せない人でしたが、今回ペーニャの部下として動く二人のDEAは、二人ともちゃんとスペイン語が話せるのでリアリティも高く、大満足でした。

カリ・カルテルのロドリゲス兄弟は、兄が外交的で女好き、パーティ好き、弟は内向的で物静か、という性格ですが、実際は弟の方が不安定でキレると危ない奴でした。兄が捕まってしまってからカリ・カルテルが傾いていっているのは明らかだったので、実権を握っていたのは兄だったのでしょう。弟には組織をまとめる力がなかったように思います。まぁ、どの辺まで事実で、どの辺まで脚色なのかは分かりませんが。

6カ月後に降伏して投降するという取引を政府と交わし(わずかな刑期で)、それまでできるだけ稼いでおくというアイデアも麻薬カルテルらしからぬ意外な戦略ですが、ヒルベルト・ロドリゲス(兄)はビジネスの才に秀でていたのかもしれませんね。

カルテルがいつまで繁栄できるか分からないし、敵は政府だけではなく、他のカルテルもいる。パブロ・エスコバールが消えてビジネスが好調の今、むこう6ヶ月の間にしこたま稼いで、最小限の刑期でリタイアするのが最小リスクだと踏んだのでしょう。

ゴッドファーザーの一人であるパチョはゲイなんですが、実際のパチョもゲイだったようです。これは非常に驚きました。時は90年代ですし、マッチョな南米国においてゲイが麻薬カルテルのリーダーってこれまでになかったんじゃないでしょうか。パチョがドラマ内で、ロドリゲス兄弟がゲイだろうがなんだろうが関係ないと言って自分を受け入れてくれたので恩義を感じていると説明していましたが、ゲイのパチョがリーダーになっているということは、ロドリゲス兄弟はパブロ・エスコバールよりずっと進歩的だったのだと思います。ちなみにパチョは殺す前に残虐な拷問をするということでも悪名高い人物でした。

ミゲル・ロドリゲス(弟の方)の息子デビッドが嫌な奴で鋭くて、すごく雰囲気がありましたね。単なる女たらしかと思いきゃ、最後の方で父ミゲルの情婦マリアにあの厳しい対応はちょっとシビれましたよ。

そんなマリアさんは、次から次へとカルテルの男を移り渡るという壮絶な人生。自称プロ彼女の皆さん、マリアさんを見なさい。これがが本当のプロ彼女です。・・・もう普通に生きた方がいんじゃないのか・・・子どももいるんだし・・・

シーズン2に続いて、シーズン3もDEAや警察が可哀想になるほど報われません。いたちごっこが続き、CIAや政府が絡んできて思うように捜査が進められなかったり、現場のDEAやまともな警察はフラストレーションとストレスで頭がおかしくなっちゃうのではないかと思いました。

挙句の果てに、リークがあの人で、おまけにコロンビアのあの人がカルテルと関わりがあったとか、しょーもなすぎて日本政府がマシに見えるレベルですw

ナルコスではところどころに実際の画像や映像が挿入されるので、これもリアリティがあっていいですね。麻薬カルテルというアンダーワールドを知る機会はあまりありませんが、ナルコスを見たらカルテル同士の抗争だとか、カルテルがどうやって衰退したのかなどが分かって、非常に面白かったです。

麻薬カルテルにつきもののグロについては最小限です。人が撃たれるシーンと、あとメキシコでよくみられるようなオブジェのグロは今シーズンでも1シーンありましたけど・・・(分かる人は分かる)ホラー見慣れてるし、作り物ということが分かっているので、私はなんとも思わなくなってしまったのですが。実際の画像で、撃たれて横たわっている人たちの写真とかは出ますが、グロはそんなにありません。

とはいえ、麻薬カルテルの内側をここまで描いてしまって大丈夫なんだろうか・・・という不安もあります。特に次のシーズンは舞台がメキシコに移るようですし、メキシコは今もドラッグ戦争が現在形で続いているので。フアレスが出てきていたので、次はフアレス・カルテルあたりかしら。撮影現場を探していたスタッフがハチの巣にされてしまったり、シーズン4を見たいけど大丈夫なのかしらと心配しています。

ナルコス、おススメです!!

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