ミセスGのブログ

海外ドラマ&映画の感想、世の中のお話

実話【モリーズ・ゲーム】感想ネタバレ:高級ポーカー運営者のモリー・ブルームの波瀾万丈な人生

モリーズゲーム

モリーズ・ゲーム


ジェシカ・チャスティン主演映画「モリーズ・ゲーム」を見た感想です。

怪我でオリンピックへの道を絶たれたモーグル選手がのちに高級ポーカークラブを経営するようになる話です。彼女の名はモリー・ブルーム。

モリーの高級ポーカークラブには、レオ様、ベンアフ様、マットデイモン様というセレブや、モネの億絵画を持ってるような超富豪が集まり、プレイヤー席をゲットするだけでも数千万という桁違いのクラブでした。

権力者たちを牛耳っていたものの、最後はFBIに逮捕されるという波瀾万丈なモリー・ブルームの人生を描いた作品です。

モリーズ・ゲームは2018年5月11日(金)日本公開予定です。

 

【モリーズ・ゲーム】作品情報

 原題:Molly's Game
公開年:2017年
上映時間:140分
監督:アーロン・ソーキン
出演:ジェシカ・チャスティン、ケビン・コスナー、イドリス・エルバ
製作国:アメリカ
言語:英語
ジャンル:ドラマ

主演は「ゼロ・ダーク・サーティ」「女神の見えざる手」の売れっ子ジェシカ・チャスティン、父親役にケビン・コスナー、弁護士にイドリス・エルバです。

 

【モリーズ・ゲーム】あらすじ

オリンピック出場に王手をかけたモーグル選手モリー・ブルームは、競技中の事故によってモーグルの道を断念しました。

ハーバード法律学校に行く前に1年の休暇をとってロスアンゼルスでカクテルウェイトレスの仕事をするモリーは、そこで知り合った男が運営する高級ポーカーゲームのアシスタントをすることになります。

その後モリーは26歳で自分のポーカークラブを運営するようになり、いつしかFBIのターゲットになってしまいます。

 

モリー・ブルームについて

本作の主役モリー・ブルームは実在の人物です。

オリンピックレベルのモーグル選手だったのに高級ポーカールームの運営者になってFBIに逮捕されたって、これまた凄い実話があるもんだなーなんて思ってたけど、モリー・ブルームの経歴を見たあとは、驚くどころか妙に納得してしまうんだなこれが。

モリー・ブルームはモーグルの選手でして、12歳の時に急性脊柱側弯症になって大手術をします。

モリーが練習中に「腰がおかしい、痛すぎる」って言ってんのに父でコーチのケビン・こ…こなすー(コナスー由来はこちら)?コスナーは痛みは無視しろみたいなこと言います。鬼!これはおそらくブルーム家の父娘関係によるものだと後で分かるんですけどね。

このときモリーの背骨は63度に側弯してしまったんですね。もちろん医者はモーグルどころかスキーもダメって言うんですけど、「スキーもダメなんて、あーくそっ」みたいな顔しているケビン・コナスーを見ながら、モリーがコナクスー!みたいな視線を向けます。

f:id:oclife:20180421014118j:plain

コナスーにコナクスー視線を向けるモリー

医者がダメだというのに、1年後にはすっかりモーグルに戻っているというミラクル。父も鬼だが娘も鬼のブルーム家。

とはいえモリー・ブルームは単にモーグルに秀でていただけでなく、政治学の修士あり、GPAは3.9(94%、平均でA)、ハーバード入試合格ラインも楽々クリア(平均169に対してモリーは173!)してたんで、学問の成績も非常に秀でていた人でした。

もともと負けん気が強くて野心にあふれた頑張り屋さんだということが最初の5分でわかります。

 

【モリーズ・ゲーム】感想

まさかの2時間20分という長い映画ですが、マイケルベイの物量攻めを見るより楽かな。

まず主演のジェシカ・チャスティンさんの表情を変えない冷静沈着な演技が、頭のいいモリー・ブルームに合っています。ともすればセレブや富裕層お抱えの高級娼婦館を運営していたハイジ・フランシスと重なってしまいそうなモリー・ブルームさんですが、そこはジェシカ・チャスティンを起用したことで、女性が反感を覚えない上品な作りとなっています。

いつも知的な役が多いジェシカ・チャスティンですが、今回は知的だが高級ポーカールームの運営役ということで派手な身のこなしを見せてくれます。

胸のあいた服やきらびやかなミニスカドレス、高級ジュエリーに身を包みます。ジェシカさん意外にグラマーです。男性だとジェシカさんの美しい胸にばかり目が行っちゃいそうだな。

驚いたことに現在41歳のジェシカ・チャスティンは20歳頃のモリーまで演じています。顔が若いので20歳くらいでもそんなに無理がありません。ハリウッド女優らしからぬチャスティン・ビューティです。

皆さんポーカーのルールって分かりますか?私はポーカーのルールをまったく知らないんですよね。ゲームのシーンがけっこうあるので、その辺は面白さを損しているような気がしました。

ルールも仕組みも知らないので、セリフについて行くのが非常に難しく、これは字幕翻訳処理も難儀だろうなと思いました。

たとえば rake とかいわれると「熊手?」とか思っちゃいますでしょ?ポーカーの rake を知らないとよく分からないわけです。調べてみると、rake とは掛け金に応じて運営側がとる手数料みたいなもんで、テーブルの掛け金全額が20㌦だとすると1㌦をrakeとして運営側がとるといった具合です。

モリーさんはずっとrakeをとらずにやってたんですけど、最後の方に取ることにしたんですね。そのときに初めて法律を冒したみたいなこと言ってます。

アメリカのギャンブルの法律は私もよく分からないんだけど、モリーさんのようにプライベートなカジノでゲームの一部を手数料としてとるのはアメリカで違法だそうです。モリーは途中まではチップしか頂いてませんが、チップをもらって生計をたてるのはもちろん合法です。

カジノのポーカーゲームでは親元がrakeとってないのかしら?

あとモリーはチップだけで3億も稼いだそうですが、このチップってのは運営者へのお気持ち代みたいなもんなのかな?プレイヤーを集め、場を提供し、ポーカーの金を管理していることに対するお金ということでいんでしょうか。1日のチップが1人5000㌦とかですから凄いですよね。美味しい商売だな。

映画「ラスベガスをぶっつぶせ」もそうだったんだけど、ポーカーを扱った映画ではポーカーを知らないと面白さが半減するかもしれませんね。

しかし金の集まるところ危険も集まります。ロシアンマフィアやイタリアンマフィアというハイエナが金のニオイをかぎつけて集まってきます。プレイヤーの中にロシアンマフィアがいたことから、モリーさんもFBIに捜査されることになります。

モリーさんにしてみれば顧客の背景とか知らず存ぜずだったでしょうが、本当にマフィアであることを知らなかったかどうかは彼女しか分かりません。なんとなく気づいていたけど無視していたという気もするな。

こうしてモリーさんは富裕層をポーカー場で牛耳る存在になったわけですが、映画ではポーカー女王となってからの私生活についてはまったく書かれていません。プレイヤーと恋仲になることもなく、恋人も出てきません。本当に誰とも付き合わずひたすらビジネスに没頭してたのだとしたらすごいですね。でもオリンピック選手間近までいった人ですから、そのストイックさはやはり納得いくかも。

モリーの子ども時代には父ケビン・コスナーが大きく影響していることが分かります。父はモリーの少女時代と逮捕されたあとにしか出てきませんが、逮捕されたあとにやっとモリーと腹を割って話し始めます。

 

精神科医のモリーの父ケビン・コスナーによるQ&A3問3答:

Q1:22歳で学業もスポーツも飛び抜けハーバードも入学できて今頃きっと自分の法律事務所を持っていたであろうモリーが高級ポーカーゲームの運営などしてたのは何故か?

モリーに替わってコナスーが回答します。

Answer:モリーは富と権力を持ったパワフルな男たちを支配するパワーを持ちたかった。

Q2:モリーの父はクソでしたか?

モリーに替わってコナスーが回答します。

Answer:モリーの父はクソだったが、3人の子を育て、そのうち1人は2度オリンピックに出場、もう1人は医者、もう1人は億を稼ぐビジネスウーマンになった。

Q3:父はなぜ私だけ嫌ってたのか?

モリーに替わってコナスーが回答します。

Answer:そう見えただけ。父はモリーが自分の浮気に気づいていると思っていたから、そういう態度になってしまっていた。

モリーは20歳になって初めて父の浮気を知ったと思っているが、実は5歳のときに父の浮気現場を見ていてそれを無意識に覚えていた。だからモリーは父に口答えをし、反抗し、たびたびルールを破ることで、怒りと軽蔑を父にぶつけていたわけです。

だから少女の頃のインタビューでも「結婚についてどう思うか?⇒ワナよ」「社会については?⇒ジョークよ」「人々については?⇒誰も信じない」という斜めすぎる答えが返されたわけですねー。

 

プレイヤーXは誰なのか?

レオ様やベンアフ、マット・デイモンも顧客だったというモリーのポーカールームですが、プレイヤーXは一体誰なのか!?というスキャンダラスな話題も持ち上がっています。

もちろんモリーは著書でも名前を明かしていませんが、映画の表現から察するにプレイヤーXはスパイダーマンのトビー・マグワイヤではないかと言われています。

モリー演じるジェシカ・チャスティンが「green screen s$%&t」って言ってますから、間違いないでしょう。

さらにモリーは「トビー・マグワイヤはワースト・チッパー(チップが一番シケていた人)で、完全なルーザー」とこき下ろしていますからね。

他のプレイヤーが千ドル単位でチップをくれたのに、トビマグは数百ドルしかくれなかったそうですよ。

トビー・マグワイヤは負けるのが大嫌いで、負けてチップをぶちまけたそうで、その後はモリーにゲームのプレイヤーを事前に知らせるようにと言ったそうですから、映画と重なりますね。

ベンアフのことは「感じが良くて、礼儀正しい。大金を懸けるのが好きだった。他のプレイヤーのようにずっといるわけではなく、時間を決めてプレイして、時間が来ると去って行った。大負けしたことはなく、勝つことが多かった」と言っています。

マット・デイモンのことは「とても感じが良く、謙虚で控えめで、分別のある人、気取ったところがまったくない」とべた褒めです。

ベンアフとマットデイモンは想像通りの人間像ですね。

レオ様については「変わったポーカースタイル」をしていたと言っています。レオ様は勝ち負けにこだわっていないように見えたとモリーは言っています。ゲームの雰囲気を楽しむくらいの気持ちなんでしょうかね。レオ様くらいお金持ちだったら、1臆ぐらいすってもどってことありませんし、増やす意味もなさそうですもんね。

評価:60点