風邪でオウェオウェ言いながら、かろうじてNetflixで観れた映画【ダーク・プレイス】の感想をせっかくだから書いておこうかな。ダメかな。
まあ良い映画でも駄作でもないので、感想を書くまでもないほどの映画なのだけど。
映画斬りの神様ふかづめさんが常々仰っているけれど、こういう映画って正直一番どうでもいい映画の類いだったりするのよね。
褒めるところもなけりゃ貶すところもないわけで、レビュワーを困らせる映画と言えます。
実のところ私は自身をレビュワーと呼ぶのさえおこがましいと認識しているのだけど、せっかく観たのに書かないのももったないないよね?というわけで、無理やり書いています。
ちなみに、これ書いてる時点ではインターネット回線工事がまだなので、インターネットが開通した暁には鬼のようにアップしてやろうかと思っています。まあそう心配すんな、多分願望だけで終わりますよ。
【ダーク・プレイス】作品情報
原題:Dark Places
公開年:2015年(アメリカ)
監督:ジル・パケ=プランネール
出演:シャーリーズ・セロン、クロエ・モレッツ、コリー・ストール、ニコラス・ホルト、
上映時間:113分
天才子役と崇められた後に失速したまま彷徨い続けるクロエモレッツちゃんも出てる。
【ダーク・プレイス】あらすじ
子供の時に、一家を惨殺されたリビー・デイ(セロン)。ルビーの証言で、兄のビリーが逮捕される。
18年後、リビーのもとに、ビリーは無罪かもしれないという若者が現れる。若者は他の仲間と一緒に当時の事件を調べ直しているという。
募金が底をついたリビーは、金銭目的から調査に協力することにする。
長年会っていないビリーに会うために刑務所に訪れるリビーだが、ビリーは事件については口を開こうとしない。
果たして事件の真相は?
【ダーク・プレイス】ネタバレ感想
主演はシャーリーズ・セロンですが、とんでもなく場違いなキャスティング。そもそもシャーリーズ自体Aリスト俳優なんてあたしゃ認めません。
女性連続殺人鬼のアイリーン・ウォーノスを演じてアカデミー主演女優賞を受賞してるけど、あれは美女のスパモが役作りのためにわざと超デブになったこと、そして撮影が終わるや否や、あっというまに元の体型に戻した努力に対する功労賞みたいなもんであって、演技が評価されたとは到底思えない。(これもふかづめさん言ってたよね)
デブのセロンでアカデミー賞をとれるなら、フロリダ・プロジェクトのムーニーの母ちゃんなんかどうするのよ。あれこそ主演女優賞もらうべきでしょ。(言っておくけど筆者は映画フロリダ・プロジェクトはあまり好きではない)
セロン主演の「モンスター」や「スタンドアップ」でも同じこと思ったけど、セロンには「セロンじゃないと」という絶対的な求心力が欠けていると思うの。あの美貌とスレンダーな長身が仇になったのかもしれないけれど、セロンならキャメDのほうがまだ魅了されるんですよね。
セロンの映画で良かったのは「マイティ・ジョー」と「ディアボロス」かな。「スゥイート・ノーベンバー」も嫌いじゃない。 でも綺麗なんだよな。いや決して嫌いじゃないですよ、むしろ好きですよ。ラックスの宣伝とか見惚れちゃうし。ただ女優として見ると別ということなんです。
次に映画の内容について。サスペンススリラーが描きたかったのか、事件を通して家族の確執という人間ドラマを描きたかったのかどっちつかずで、どちらも不完全燃焼のまま達成できずに幕が下ろされちゃいます。
家族を惨殺され、募金だけで生きてきた無職ボッチのリビーですが、精神を病んで苦悩する様子が欠けている。かろうじて調査グループの青年に「私の近くに寄るなコルァ」という台詞は発するものの、アルコールやドラッグに溺れる様子もメンタルをきたしている様子もない。
あれだけの事件に巻き込まれ、兄に家族を惨殺され(たと思って)一人で生きてきて、仕事もせず、友人もいなく、募金だけで生きてきた人間にしては、やけに精神がクリーンであり、そこに人間性への共感は期待できない。
肝心の兄との関係も掘り下げ不足である。当時の兄とルビーの関係がどうだったのかもさっぱり把握できないので、現在の刑務所で再会した二人に対しても何も心情が湧いてこない。
何の心情を抱けばよいのか分からないが、ここは「兄を投獄した妹と無実かもしれん兄との久しぶりの再会」なのでとりあえず背筋伸ばして苦しみを感じ取ってやらねば、みたいな視聴者への投げっぱなしジャーマンがとことん怠惰である。
当時あらぬ疑いをかけられていたビリーは妹リビーをどう思っていたのか、兄妹の関係は良好だったのか、当時の会話らしい会話が存在しないので、この二人に何を期待すれば良いのか戸惑ってしまう。
ネタバレしてしまうと、結局兄は全くの無実であることが判明して刑務所から出所することになるのだが、兄は終始悟りを開いているかのように妹に文句一つさえこぼさないし、なんならリビーに謝罪までする。
他方、リビーは自分のせいで無実の兄を犯人に仕立て上げてしまったことに対して最後まで謝罪の言葉を述べることはなかった。 逆じゃない?
既に口酸っぱく述べたように、二人の家族としての絆も描かれていなかったので不可解な贖罪場面という印象を受けてしまう。 家族が惨殺され、自分の証言で兄が犯人として投獄されてしまった、18年後、兄が無実かもしれない可能性が持ち上がった、というせっかくのサスペンススリラーキラー題材であるというのに、これは残念な描き方です。
家族を惨殺したのは兄なのか、それとも真犯人がいるのか?というサスペンススリラー要素も唐突感がものすごい。経済的に困窮していた母ちゃんは、ある男に偽装殺人を依頼して保険金で子どもたちを助けようとしていた。
しかし殺人を請け負った男は実は単なる連続殺人犯で、母ちゃんだけでなく、子どもまで皆殺しにしようとした。
一方、犯行当時、兄のビリーはクレイジーなクロエ・モレッツと一緒に同じ家の中にいたのだが、かねてからビリーのウザい妹に堪忍袋の緒が切れたクロエ・モレッツは、家の中の異変に気が付いてビリーが廊下に出て行った隙に、ビリー妹を絞め殺す。
ビリーは、たまたま身を潜めていたリビーを守るため、こっそり家の外の小屋かどっかに隠す。
要するに、殺人を請け負うはずのプロが連続殺人犯でした。そして妹の一人はクロエ・モレッツが絞め殺してました。という偶然が重なる展開だったわけで、これはサスペンスのないサスペンス映画なのである。
サスペンスというのはだな、視聴者が「犯人はこいつだな」「ビリーが本当に殺したのかな」と考えを巡らせて謎を解いていくのが楽しいのであって、リビーの兄が真犯人なのか?真実をは一体?家族に一体何があったのか?と、家族を取り巻く不穏な状況に興味深々のところにだよ?突然、連続殺人鬼が登場するというのは、場違いと言いますか、暴案と言いますか。
若いビリー役を演じたタイ・シェリダンはスクリーン映えするので伸びしろ満点。一瞬、若手実力派のバリー・コーガンかと思ったんだけど、なんとなく雰囲気が似ている。