本家シカゴ・ファイアよりも人気が出てしまったシカゴP.D.は現在シーズン6が放映中です。
シカゴシリーズのエピソードは毎回扱ってはいませんが、印象に残ったエピソード、おもしろいと思ったエピソードに限って紹介しています。
シーズン6の第13話もそのひとつ。
今回の主演はケビン・アトウォーターです。ケビンが追い詰められるエピソードは、今シーズン2回目ですね。前回は自分のピンチを救ってくれた女性と恋仲になったものの、最後は彼女を逮捕しなければならない状況になるというお気の毒な話でした。
アトウォーター、今回も精神的にキツそうなエピソードでした。
題名はたぶん「シカゴの夜」だな。
【シカゴP.D.】シーズン6第13話あらすじ
犯罪組織のボスとして長らく降臨しているギャンブルを逮捕するため、アトウォーターが潜入捜査官としてギャンブルの右腕ダリルに近付く。
しかしダリルは頭がよく用心深いため、アトウォーターを信用していない。
そこでインテリジェンスチームは、ギャンブルを街から消し去りたい市議会議員プライスの情報をもとに、ダリルの15歳の弟ヴァンスという弱点をつくことにした。ケビンはバスケットボールのコーチを紹介してヴァンスをリクルートすることで、ダリルの信頼を得る。
その頃、市長を狙うケルトン警視は、市長選に向けてプライスに支持を依頼していたが、プライスは興味を示さない。
ボイトはプライスからダリルのドラッグディーラーの名前と住所を聞く。その住所にはスペイン語を話す女性たちがいた。ボイトは彼女たちをシカゴから脱出させると約束する。
アトウォーターはダリルに新規ドラッグディーラーの話を持ちかける。アントニオがドラッグディーラーに成りすまし、ダリルは売買契約を結ぶことに。
ダリルはアトウォーターに弟ヴァンスを誰よりも大切に思っていると胸中を話す。ダリルはアトウォーターに気を許し、ダリルにとってヴァンスは希望であり、自分は犯罪者だがヴァンスだけは真っ当な道を歩ませたいと語る。
二人がアントニオに金を運ぶ途中、二人の白人警官に停められる。
白人警官は黒人への偏見に満ちていた。そのとき無線でたまたま黒人男性二人による強盗が発生したという通報が入ったため、二人はアトウォーターとダリルを車から降ろして逮捕しようとする。アトウォーターがパトカーの後ろに連れて行かれた時、ダリルが警官に撃たれて倒れてしまう。
アトウォーターは、「無実」のダリルがレイシストの白人警官に射殺されたことに激しく動揺する。
ボイトはアトウォーターの潜入捜査をそのまま続けさせることにする。アトウォーターは納得がいかないままギャンブルに直接話を持ち掛け、アントニオと取引をさせることに成功、ギャンブルは取引現場で逮捕される。
ギャンブルは自分を嵌め、ダリルを間接的に死んだのはアトウォーターのせいだと責める。アトウォーターは仲間に「どんな犠牲を払っても」悪者を逮捕しなければならいのだと反芻する。
ダリルが射殺されたときのボディカメラをみたアトウォーター。ダリルが銃を構えた白人警官から銃を奪おうとするシーンが記録されていた。しかし音声がないので、白人が何を言ったか分からないとアトウォーターはルゼックに言う。
アトウォーターは白人警官に直接会い、ダリルの射殺は正しい判断だったと伝えたあと、バーの外で白人警官を殴り、銃を向け、ダリルと同じ思いを味あわせる。
【シカゴP.D.】シーズン6第13話の感想
シカゴP.D.の中では一番スポットライトから遠い位置にいたアトウォーター。今シーズン、アトウォーターが主役のエピソードは2回目なので、もしかするとポリコレ配慮によるものかもしれません。アトウォーターは黒人なので。
かねてからアトウォーターが他のキャストほど重宝がられていないので不満だったので、アトウォーターがフォーカスされて嬉しい。アトウォーターはインテリジェンスチームの中でもバランスが取れていて性格的に信頼できるキャラなんですよねー。一番友人になりたいキャラといいますか。
ていうか、アジア人も入れてくれよ。
初期の頃、制服警官としてバージェスとパートナーだった頃の二人が好きだったので、バージェスとのやり取りをもう少し見たいなー。あの頃もいつもバージェスを気遣い、大事な友人でいてくれたもんね。
そんなアトウォーター、今回はターゲットである犯罪者のダリルが自分に気を許して弟への思いを吐露する➡犯罪者ダリルの愛情深い一面を知るというハートウォーミングな時を一瞬過ごします。
犯罪者だって色々です。テッド・バンディや栗原勇一郎のような心底糞った悪魔のような男もいれば、善人の心を持った犯罪者もいるのです。
今回出てくるダリルは麻薬組織のボスの右腕という立場ですが、状況が違えば真っ当な仕事について綺麗な金を稼いでいたであろう人物で、15歳の弟を心から大切に思っています。
立場は違えどそんなダリルと心の触れ合いを交わしたアトウォーターは、レイシストの白人警官によって差別的な扱いを受けた挙句、ダリルはあっさりと射殺されてしまいます。
もちろん射殺されたときダリルは何もしていないので無実です。犯罪とは無関係なところで、黒人であるがゆえに不当な扱いを受け、(強盗の)犯人と疑われ、目の前で射殺されてしまったアトウォーターの気持ちを思うと泣ける。
そのあと、胸中をルゼックに吐露したアトウォーターですが、ルゼックは「どんなに遭理解しようとしても白人の自分には絶対にその気持ちが理解できない」と正直に告げます。
ここがうまかった。なぜなら肌の色で差別される気持ちが白人に理解できないのは真実だからです。アメリカでは黒人と同じようにアジア人も差別されることがあります。アジア人への差別は最もさりげなく、とらえがたい差別です。たとえば白人警官はアジア人のしかも女性には注意を向けない、とかですね。
なにか騒動が起きたとき、白人警官が話を聞こうとするのはまず白人、次に黒人、そしてアジア人で、アジア人のなかでも女性は最後です。身も蓋もない言い方をしてしまえば「取るに足らない」存在なのです。
在米中、警官と接する機会はあまりありませんでしたが、カリフォルニアであっても普段の生活でそういう雰囲気は体で感じ取りました。レストランで奥の方に追いやられるというのも都市伝説ではなく、2度、3度経験しました(アメリカ人旦那と一緒でも)。
日本でも、たとえばクレームをつける時や重大な話の時に女性だとまともに取り合ってくれないことがありませんか。「女だと思って馬鹿にされる」「女だとまともに対応してくれない」「女だと舐められる」こういう言葉を周囲でもよく聞きます。
我が家は国際結婚で旦那が日本語を話さないので、日本に住んでいると何か問題が起きた時は私が対応しなければなりません。国際結婚をする女性は「男性役」もこなす必要があるのだなとつくづく思います。
脱線してしまいました。
有色人種にとっては、ルゼックのように正直に話してくれる白人と知り合って初めて同じレベルで話せるようになるんですねー。
ダリルが射殺された後もアトウォーターに潜入捜査に戻れと命令したボイトの決断も凄いですよねぇ。