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Netflix【最悪の選択】映画あらすじ感想:バイオレンス・レイクの最後の10分を再現した心理スリラー

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© Calibre Films Ltd / Netflix


バイオレンス・レイクの恐怖ふたたび!Netflixオリジナル映画【最悪の選択】を見た感想です。

バイオレンス・レイク見た人なら分かると思うんですけど、最後の10分の心理的な恐怖は尋常じゃなかったですよね?内容は違うんですけど、あの心理的な恐怖がが1時間くらい続く感じの心理スリラーです。

男同士で狩猟を楽しもうとスコットランド北部へ出かけた幼なじみの2人。だが週末の旅はたちまち悪夢に転じ、人としての本質を揺るがす耐え難い試練が待ち受ける。Netflix

なにげなく予告を見て興味をそそられ見たところ、かなり満足いく心理スリラーだったのでお勧めしたい作品です。

実は予告でほぼ全部ネタバレされてるっぽいので、興味のある人は予告は見ないで本編を観るのがおススメ。

 

Netflixオリジナル映画【最悪の選択】作品情報

原題:Calibre

公開年:2018

監督:マット・パーマー

出演:ジャック・ローデン(ヴォーン)
   マーティン・マッキャン(マーカス)
   トニー・カラン(ローガン)
   イアン・ピリー(ブライアン)
   カール・マカニンチ(アル)

上映時間:101分

言語:英語

原題のcalibreはイギリスのスペルで、アメリカのスペルだとcaliberになります。意味は銃の「口径」です。

主役のジャック・ローデンは「ダンケルク」に出演、友人役のマーティン・マッキャンはこの間見たゾンビ映画「ゾンビ・サファリパーク」でヒロインの恋人役やってた。2人ともベルファスト71に出演してます。

ジャック・ローデンはスコットランドの境、マーティン・マッキャンはベルファスト出身です。

そしてなんと実力派トニー・カラン(スコットランド出身)、イアン・ピリー(スコットランド出身)、カール・マカニンチ(グラスゴー出身)など魅力的な個性派俳優が勢ぞろい。

 

以下、ネタバレ

 

 

Netflixオリジナル映画【最悪の選択】あらすじ

15年来の親友2人が北部に狩猟に出かけたところ、ヴォーンが鹿を撃とうとして誤って子どもを撃っちゃう。子どもは即死、父ちゃんが怒り狂って銃をヴォーンに向けたら、もう1人の片割れマーカスが父ちゃんを撃っちゃう。

宿泊所に戻って平静を装って場をやり過ごそうとするも、村民が親子2人が森の中で行方不明と気づく。

ヴォーンとマーカスは必死に隠そうとするも、トニー・カラン、イアン・ピリー、カール・マカニンチという個性派村民の前に怪しさボロボロこぼれてる。

 

Netflixオリジナル映画【最悪の選択】感想

映画にくぎ付けになる機会がだいぶ少なくなってきたこの頃ですが、本作品はかなりの掘り出し物で、最初から最後まで身を乗り出してくぎ付けになった作品だった。

ヴォーンとマーカスは最初は事故といえ子どもと親を撃ち殺してしまった挙句にアリバイ工作もして、夜中に現場に戻って埋め、さらに証拠隠滅のためにマーカスが子どもの頭蓋骨に残された弾を取り出すという所業を見せる。

これがあとでニュースで流れたら、「外道ども!狩りに行くつもりで人間狙ったな!しかも子どもの体になんてことを…死刑!」なんてSJW(ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー)のフェミニストみたいに吠えるところだが、何がどうしてか、見ている自分がこの二人の心境になってしまうという体たらく。

実際に見てみると分かるが、子どもを撃ってしまったのは純粋に事故だったし、父ちゃんを撃ってしまったのも正当防衛じゃないと完全には言い切れない曖昧さがある。

さらに、よそ者に敵意を抱く人が多い閉鎖的な田舎町という設定もあるので、いやがおうにも罪を犯した二人の心境にならざるを得ない。

これは監督ウマイですよ!マット・パーマー監督は他にも心理スリラー系の脚本、監督を手がけているので、他の作品も見てみたくなる。

さて恐ろしい犯罪を犯してしまった2人は「やっちまったーやっちまったー」と多少パニクりながらも平静を保とうとし、宿泊所に戻る。

夕飯に現れないと変だと思われるので、夕飯をとるためにパブの奥にあるレストランへ向かう。当然パブには村民が大勢いてビア飲んでるね。そこを抜けて奥に入ると、シーンとした小さな食事処に我らがローガン様(トニー・カラン)といとこのアル(カール・マカニンチ)がメシ食ってる。

よりによってローガン様がいる。ローガン様は村でもリスペクトされている重要な人物なのだが、ヴォーン&マーカスが村に着いてまもなく、ローガンがヴォーンに親切に話しかけたにもかかわらず、マーカスが「オヤジの長話なんか付き合ってられるか」という態度でむげにした相手である。

気まずいヴォーン&マーカス。いや、ヴォーン&マーカスどころじゃなくて、見ているこっちの方が気まずいんだよ!

その気まずさを察してなのか虫の知らせなのか、ローガン様は2人に「一緒に食べよ」なんて誘いかける。断るとか、明らかに変な空気なのでムリムリ。「同調圧力とか気にしない!」とか言ってる場合じゃない。NOを言わせない雰囲気のローガン様。

さらに超能力でもあるのかローガン様は2人に「この店は鹿肉が美味しいよ」と勧める。よりによって鹿のワイン煮みたいなやつ。しかも抜群のミディアム・ブラッディ・レアで、美味しそう~に、うっすら血がにじんでるやつ。ヴォーンは鹿を撃ったつもりが子どもを撃ってしまったことを忘れてない2人と視聴者。

ヴォーンはたまらずトイレに急行して吐いてしまうが、視聴者は「ヴォーン、駄目だよダメだよ、平常心保たないと、バレちゃうよ!」と2人の今後が心配でたまらない。

しかしローガン様はいつも冷静で親切心にあふれている。その親切が心底怖い。

おまけにローガン様のいとこのアルは、夜中に1人で悪人を拷問して成敗していそうな雰囲気がムンムン出てる。

さて二人は夜中に森に戻って親子を埋めて日が空ける前にホテルに戻るのだが、そんな二人にはお約束の子ども目撃シーンが待っている。見られてるよーまだ夜が明けてないのに何起きてんだガキ!と言いたくなっちゃうほど2人の気分になる。

数時間ほど寝て朝になったら口実をつけて村から脱出するつもりだったが、なんとここでまさかのトラブル発生。「まさか」じゃなくて、お約束のトラブル発生か。

車の周りにワラワラとタフそうな町民が集まってきたので「まさか…バレた!」と私も気が気じゃなくてちびりそう。

そこで危機を助けてくれるのは、やはりローガン様…その親切が心底怖い、怖い。

割愛するが、町民のせいで車のタイヤを交換するまで脱出不可能になってしまった二人。出られない…

本当はパブになんか行きたくないが、修理屋のおっさんが「タクシー出せるか聞いてみようか?」なんつってお節介にもパブに連れてってくれる。タクシーの運ちゃんはもちろんパブでへべれけに酔ってる。

パブには先ほどのいきり立った町民たちももちろんいる。

そんな時、よりにもよってローガン様の弟と甥っ子が森から帰ってこないという知らせが届く。

ローガン様の今までの数々の親切が最悪にも活きてきた瞬間に、絶望を隠せなくなってきた私w さらにマーカスは「ローガンの弟が行方不明」と聞かされたというのに、後から会話に入ってきたせいでうっかり「彼ら」と複数を使ってしまって、すかさず鷹みたいな目をしたアルに「彼ら?なぜ『彼ら』と言った?」と突っ込まれてしまう。

その日の夜は村のお祭りで、キャンプファイヤーをやるらしい。二人は断りきれずに出席する。いざキャンプファイヤーに向かうと、村民からの視線を感じてしかたない。目撃した子どももミステリアスな顔浮かべとる。

もう万事きゅうすだわ…

このあと二人はローガンに言われて皆で夜の捜索隊に加わっちゃいます。半ば無理やり。

最後は結局とっつかまっちゃうだけど、そこまでの心理スリルがゾクゾクするほどリアルで、あの時の選択をやっぱり間違えたことを実感したよね。

たいてい心理スリラーとかホラーには脚本に穴があるケースがあるもんだけど、本作はそれが見られなかったし、ローガン役のトニー・カランと村民ブライアンのイアン・ピリーの自然な様子が本作をリアルで優秀なものにしていた。

評価:80点