先日、久しぶりに英文履歴書の作成依頼を受けた。英文履歴書はレジュメやCVといわれる。日本の履歴書とは形式も内容もかなり異なるので、いざ英文履歴書が必要になると戸惑う人も多いだろう。
最近では履歴書を英文に翻訳してくれるサービスも多くあるので、利用するのも一つの手だ。
それでも英語ができる方であれば、自分で作成可能だし、細かい職歴やPRポイントを最大限にアピールするという点でも、やはり自分で作成できる方がよい。
英文履歴書を作成する上で基本的なコツをまとめてみた。
英文履歴書について
英文履歴書はフリースタイルだ。自分ですべて一から決めて作成する。はっきりいって、あらかじめレイアウトが決まっている日本の履歴書の方が楽だ。履歴書を書きたくないばかりに、転職するのを躊躇するアメリカ人もいる。
しかし英文履歴書はすべて自由に記入できることから、自分をアピールするにはもってこいだったりする。
日本の履歴書のように、時系列にすべて記入していく必要はない。とりわけ成果がすべてともいえる専門職や技術職の場合、自分に都合のよい情報だけをリストアップして自分の得意分野やPRポイントを最大限にアピールできる履歴書を書くことが可能だ。
最近は日本の履歴書もPCで作成している人が多いが、英文履歴書も手書きではなくPCで作成するので、一度作成してしまえばコピーも印刷も簡単に済む。
レイアウトをたまに変えたり、新しい職歴や学歴、資格などをゲットしたらアップデートするだけで済む。
日本で新卒で就活してたとき、履歴書を手書きで記入して間違えて何度書き直したことか・・・
英文履歴書の3つのフォーマット
英文履歴書には「Chronological」「Functional」「Combination」という3つのフォーマットがある。
クロノロジカル・レジュメ
時系列にまとめたレジュメ。一般的には直近のものから書いていく。
最もスタンダードなフォーマットで、ベテラン面接官が一番好むのはこのフォーマットと言われている。
次のような人に向いている。
- 一貫したキャリアを持っている
- 同じような分野の職種に応募する
- 空白期間(無職期間)が少ない
次のような人には向いていない。
- 空白期間がある
- 畑違いの分野で応募する
- 転職が多い
ファンクショナル・レジュメ
応募職種に一番適した技能・成果を書いていくレジュメ。いつ技能・成果を得たのかを無視したフォーマットなので、スキルや技能を持った人向け。
次のような人に向いている。
- 空白期間が多い
- 新しい分野へキャリアチェンジを図りたい
- アピールしたい技能・成果がある
次のような人には向いていない。
- 新卒、未経験者、経験が少ない
- キャリアアップ・上昇志向を強調したい
- 応募職種に関連するスキルがあまりない
コンビネーション・レジュメ
クロノロジカルとファンクショナルを合わせたものがコンビネーション・レジュメである。
コンビネーション・レジュメは冒頭にスキルや技能をまとめた Summary や Qualifications を書いてから、その下に職歴・学歴を書いていくものだ。
次のような人に向いている。
- 関連スキルを明示したい
- 異なる分野に移りたい
- 自分の仕事に自信がある
次のような人には向いていない。
- 新卒、未経験者、経験が少ない
- 学歴をアピールしたい
- 関連スキル、資格がない
コンビネーションを使う人が一番多いといわれていて、私もその例外ではない。先日依頼された英文履歴書もコンビネーションを使用した。
英文履歴書で押さえるべき6つの基本ポイント
連絡先
氏名、住所、電話番号、メールアドレスを記入する。履歴書の冒頭に記入すること。名前は特大フォントを使用して、目立たせる。また、フッターにも記入して、どのページからも連絡先が見れるようにしておくこと。
希望職種 OBJECTIVE
応募者が何をしたいのか一目みてわかるように希望職種を記入する。その職種を通じて、自分のどんなスキルを応用し、どんな結果を出したいかを2~3行で簡潔にまとめられれば完璧だ。そこまでは難しいというなら、希望職種だけでも良い。
自己PR SUMMARY / QUALIFICATIONS / PROFESSIONAL PROFILE
自分のスキル、優れた点を記入しよう。職歴がない新卒の場合は、SUMMARY や PROFILE としてバイトやクラブ活動などでリーダーシップをとったことなどを記入するとよい。
職歴 PROFESSIONAL WORK EXPERIENCE
新卒なら、学生のときにしていたアルバイトなども立派な職歴だ。職歴は、直近のものから記入していくとよい。年だけ記入しても良いし、年月の両方を記入しても良い。
学歴 EDUCATION
新卒でない限り、詳しい学歴は必要ない。最終学歴や取得学士を記入すればよい。
資格 CREDENTIAL / CERTIFICATIONS
資格があまりなければ、学歴と資格 EDUCATION & CREDENTIAL という風にまとめて一緒に記入してもよい。
不要なもの
次は英文履歴書に不要なものを列挙した。一般的に個人情報にあたる部分は一切記入しなくてよい。日本でも個人情報への注意はかなり広まってきたが、アメリカの個人情報に対する考え方はもっと厳しい。以下の項目はほとんど個人情報で、いずれも履歴書には記入しなくてよいものだ。
写真
モデルに応募するとかじゃない限り、写真は不要だ。ただ、最近は面接官の目に留まりやすいようにアピールするためか、写真を貼付する人も増えてきている。
生年月日
不要。年齢差別、個人情報にあたるので不要。
年齢
年齢も不要。年齢差別の観点から、年齢を記載することは推奨されていない。アメリカでは年齢を記載するように強制することは法律で禁じられている。
ただし、日本企業向けの英文履歴書の場合は、年齢を記載することもあるので、臨機応変に対応するとよい。
性別
性差別の観点から、こちらも不要。トランスジェンダーの方もいる。
配偶者の有無
不要。独身、既婚といった情報は個人情報にあたる。
扶養者の有無
不要。これも個人情報にあたる。
退職理由
不要。日本では退職理由を気にする傾向があるが、アメリカではそのような傾向は一切ない。頻繁に仕事を変えていると「この人は協調性がないのではないだろうか?」と思われてしまう可能性もあるが、アメリカではその心配はご無用。(3か月ごとに仕事を変えているなどは例外だが。)
趣味・特技
不要。ただし、志望職種に関係あることなら記入してアピールすることもできる。
英文履歴書作成時の基本ルール
一人称は省く
一人称は省く。「私は」にあたる I は一切使わず、動詞の過去形から始める。
例: Maintained 100% customer service rating during the year of 2014.
数字はスペルアウトせず、アラビア数字を使う
例: 8+ years of experience(8年強の経験)
箇条書き
職歴・学歴・資格などは、箇条書きですっきりまとめよう。
まとめ
以上が英文履歴書の基本だ。英文履歴書を作成するには、まずこの基本情報を頭に入れておこう。
たかが履歴書、されど履歴書。基本もままならないようでは、面接にこぎつけられるかも怪しい。
基本を押さえて、自分を魅せる履歴書を作成しよう。