Amazon Primeで待望の新作海外ドラマ「ナチ・ハンターズ」が配信されました。
以前2020年待望の新作ドラマとしてピックアップした一作です。
このドラマの目玉はなんといっても御大アル・パシーノ*が出ているということです。*「狼たちの午後」時代のアル・パチーノの日本呼称。
アルパチは知る人ぞ知るあの映画斬り「ふかづめ」さんの好きな男優十選の一位に輝いた男優でしてよ。若い頃のアルパチは超絶美しいことに同感しますわよ。アルパチの映画も好きなの多い。たまに訳わからんのもあるけど。
ただ、一つだけアルパチの嫌なところがあって、それは喋り方。アルの英語何言ってっかわからないアル。嗄れ声のせいなのか喋り方のせいなのか、アルパチの英語は(特に年老いてから)どういうわけか私には非常に聞き取りにくいのです。英語と見せかけて実はイタリア語喋ってんじゃないかと思うくらい、気を抜いてるとそっくりそのままアルパチの声だけ馬耳東風。不思議ね。
まぁそんなアルパチがほぼ主演する新作ドラマ「ナチ・ハンターズ」のご紹介です。
【ナチ・ハンターズ】あらすじ
史実に着想を得たナチ・ハンターズは、1977年のニューヨークで結成されたナチ・ハンターの”寄せ集め”チームの活躍を描く。彼らはアメリカで暮らす大勢のナチス逃亡者を発見。そして、制裁のためどんな悪事にも手を染める。復讐と正義を追求するためだ。しかし、やがて彼らは想像もつかないほどの大きな陰謀に気付き、時間と闘いながらナチスの新たな”大量虐殺計画”を阻止すべく動き出す。
ナチ・ハンターズ-Amazon Prime
ナチ・ハンターは実在したようです。
実在のナチ・ハンターについては詳しく知らないので、そのうち本を読み漁ってみます。
ナチ・ハンター系映画としては「顔のないヒトラーたち(2014年)」「アイヒマンを追え!ナチスが最も畏れた男(2015年)」「手紙は覚えている(2015年)」「ブラジルから来た少年(78年)」あたりだけど、どれもまだ観てないのよ。
進行形のナチ・ハンターだと「イングロリアス・バスターズ」が有名どころで、イングロは最近になって観たのですがタランティーノらしくクールな復讐劇を楽しみました。
ポスターが黄色のバックなのですぐにイングロリアス・バスターズを思い出す人も多いと思われます。これはユダヤのダビデの黄色だよね?
【ナチ・ハンターズ】感想
「ゲットアウト」「アス-US-」「ブラッククランズマン」が好評な社会派監督ジョーダン・ピールが製作総指揮を務めていることもあって、そこかしこにピール節の欠片が見られる。(本ドラマのクリエイターはデビッド・ウェイル君という若造なのでよく知らない。)
ジョーダン・ピールは黒人の立場から風刺のきいた人種差別を描くことが得意で、また人種差別を取り上げることをまったく恐れていない。虐めや差別は大概当事者でなければその痛みや微妙な差別加減を充分に理解することはできないので、彼の作品では白人が理解できない微妙な差別心や、日本人でもお馴染みの悪気ない差別というものが存分に描かれている。
その上、風刺が効いているので、リベラルに傾倒しているハリウッドやアメリカの一部にウケている次第です。まぁ、白人には教科書みたいな人種差別しか描けないからね。黒人のピール監督がアジア人が受ける人種差別を描けるかというとおそらくそれは無理なのと同じで。
焦点は常に「人間の暗部」にあり、それを美しいショットで撮るというのがピール監督の持ち味です。
アメリカに潜伏するナチス残党
第1話の冒頭、1977年のアメリカはマサチューセッツ州の豪邸で開かれるBBQ。おそらく週末。肉を焼く男は下院議員(ディラン・ベイカー)。
プールで遊ぶ子供たち、カラフルな浮き輪、手入れされた芝生の庭、白壁の家、大木と木陰、女性も男性もカラフルでポップな服に身を包む。何から何まで完璧なアメリカの上流階級の美しい日常風景です。
このあと何かが起こるが、それは実際に観ていただくとして。
この肉焼き男は実はナチスの残党で、アメリカに逃亡してちゃっかりと議員になっていた不届き者であった。
アメリカには他にもナチス残党がいて(全部で70人以上だったか)、それをアルパチらナチス・ハンターズが探し当ててひっそりと始末するという闇仕事をしている…というのが粗筋。
ナチ・ハンターズのメンバー
アルパチがアウシュビッツ強制収容所で救ったユダヤ人女性のルースの孫が主人公の19歳の青年です。
第1話~第3話までは孫が現実に起きていることへの適応がまだ出来ていなくて、みんなの足を引っ張ったり、バイオレンスについていけなくて苦悩します。
ナチ・ハンターズたちは第1話の最後で紹介され、第2話で一人ずつ手短な紹介があるけど、この紹介の仕方がさっぱりわからん。名前なのか愛称なのか職業名なのかが本人と一緒に漫画チックな背景で画面に出てくるんだけど、チカチカして物凄くイヤです!
このへんはタランティーノを意識しているような感じがしますなぁ…
一気に紹介されても分からないし、どうせずっとレギュラー出演する仲間たちなんだからあのポップでウザイ紹介は蛇足だったと思います。変にクールさを演出されると冷めちゃうんだよね。
ナチス・ハンターズの仲間はアルパチのほかに6名。全然名前を覚えられないんだけど、左から
- フォクシーレディ
- 老夫婦
- 尼さん
- 俳優
- 水島くん
と覚えとけばいい。尼さんはMI6出身のイギリス人。
カラーコーディネーションがいいよね。
水島くんは日系アメリカ人のルイス・オザワさんで、「プレデター」でヤクザ、「ボーン・レガシー」を演じていたあの人です。オザワさんは父が台湾人、母が日本人だそう。姓は邦名を名乗ってるんですね。本作では寡黙で怖いけど頼れる暗殺者的存在で格好いいよ。オザワさん、日本語も話せるらしく、インタビューは日本語でOKらしい。ご両親がちゃんと教えたんですねー、好感度上がったわぁ。
「イングロリアス・バスターズ」が好きな私としては、どうしてもメラニー・ロランとイーライ・ロスが観たかったなぁ~。
主人公の19歳の青年ジョナ
主人公の青年ジョナ。「フューリー」に出ている。
ジョナの話する前にアルパチがヌリカベみたいになってることを指摘しておく。
ジョナの親友二名。
右のデブに気付いた方はえらい。こちらで主人公の男子に口を塞がれた子ですね。まだ太ってたんか、ワレ。私もあの時から全然体重減ってないや。
さて強制収容所を生き抜いたお婆ちゃんルースと、孫ジョナは、他に身寄りもなく、二人きりで貧しい暮らしをしていました。しかし祖母ルースが言うように、ジョナには特別な才能がありました。
ジョナが持っているのは「アポフェニア」という能力です。アポフェニアとは、いっけん無意味・無作為に見える情報の中から規則性や関連性などのパターンを見出す知覚能力のことです。
ジョナは第1話~3話ではメンバーに正式に加入していませんが、この能力がナチスの暗号解読などに役立っていくのだと思われます。
FBI捜査官ミリー
不審死を遂げた人たちを調べるうちに、FBI捜査官のミリーは奇妙なことに気が付きます。よく調べてみると、殺害された人たちはアメリカに身を潜めていたナチス残党であることに気が付きます。
本ドラマのゲイ枠。但し77年なのでミリーはゲイであることを隠している。
ナチスシンパのアメリカ人
ナチスシンパのアメリカ人で、アメリカ政府高官になっているナチス残党員の蜘蛛女(レナ・オリン)の命令に従う危ない青年トラヴィス。演じるはグレッグ・オースティンで、実はイギリス人!アクセント全然気付きませんでしたわよ。
今のところ、このドラマの中でお気に入りのキャラ。※それはそれは酷い人種差別主義者です。
駄々をこねる子どもへの凄みやらボーリング場での脅しやら「ファニー・ゲーム」を踏襲しておりますわよ。
第3話まで観終わったところですが、超おもしろい!とまではいかないけど、つまらなくはない。ナチスへの復讐劇を軽いタッチで楽しくスリリングに観たい人にはお勧めできるドラマです。
過去の強制収容所の様子を描いているのもイメージが湧きやすくて効果的だと思う。
シーズン観終わったらまた感想書きます。