新潟県で殺害された7歳の女の子の事件で、近所に住む23歳の会社員が逮捕された。
この男、小林遼(はるか)は「車で女児にぶつかり、泣き出したのでパニックになり車の中で首を絞めた」と供述している。供述が真実であれば、車に痕跡が残っているかもしれないので、その点は警察が明らかにしてくれるだろう。
注目すべきは、小林容疑者が4月に別の女児を連れ回したことで書類送検されていたということだ。ご存知だろうが、性犯罪の再犯率は高いので、4月の事件を考慮すると今回の供述の信ぴょう性は低いだろう。
時を同じくして、福岡県で高下永(たかした・ひとし)という31歳無職の男が3歳児への性的暴行で逮捕されている。
男はディスカウントストアのトイレの個室で男児に強制性交をしたと見られている。男の子がトイレに行ったまま戻らないので、母親がトイレで男の子の名を呼んだところ、この男が男児と一緒にトイレの個室から出てきたという。その際、男は「トイレを手伝ってあげた」と話したそうだ。
なお、この男も再犯である。2008年にも小学生男児の下半身を触ろうとし、わいせつ罪で逮捕されている。男は、小学生の男児に声をかけ、後ろから男児の口を無理やりふさいで、下半身を触ろうとした。
また、高下永はtwitterにも男児の下半身の後ろ姿(水着姿?)の写真を投稿したり、「女の子のスクール水着を見ながら○○を揉んでいるよ」などといった卑猥なツイートをしている。
さらに兵庫県では14歳の中学生が10歳の女児の下着を脱がそうとして逮捕されている。中学生は「触りたかった」と話しているという。
ここ最近、児童を狙った性的暴行事件が多発しているので、この機会にいまいちど親御さんたちに啓蒙したいと思う。
子どもを性犯罪から守るために知っておくべきこと
アメリカでは今や女児4人に1人、男児6人に1人が性犯罪の被害者になっている。これは報告されている数であることに留意したい。報告されていない数も含めれば、信じたくないほど多くの子どもたちが性犯罪の被害者になっていると想像できる。
知は力なりーこうした事実を知っているか知らないかで、危機意識にも差が出てくる。身の振り方にも差が出てくるし、子どもの安全度にも関わってくるので、よろしければ読み進めていただき、子どもへの性犯罪について知ってもらえればと願う。
性犯罪の再犯率
あるアメリカのソースによれば、性犯罪の再犯率は以下の通りとなっている。しかし、発見されないケースや報告されないケースも多くあるので、この数字はかなり控えめな数字となっているはずだ。
性犯罪の再犯率
- 5年以内の再犯率:10~15%
- 10年以内の再犯率:20%
- 20年以内の再犯率:30~40%
(source: Hanson, Morton, & Harris, 2003)
実は、性犯罪の正確な再犯率を測るのは難しい。 再犯率は、いちど性犯罪を犯した者が社会に復帰し、再犯の末、逮捕され、有罪判決を受けて初めて再犯とみなされるためだ。性犯罪の多くが報告されないし、報告されたすべてのケースが逮捕、有罪判決まで進むわけでもない。
たとえば性的暴行者の100%が出獄して社会に復帰したとしよう。そのうちの10%が性犯罪を再び犯したと報告されたとする。そのうち逮捕されて有罪判決を受けたのが5%だとすると、再犯率は5%になってしまうのだ。
性犯罪に詳しいアメリカの心理学者アンナ・サルターによれば、性犯罪者を面談とポリグラフ(ウソ発見器)で調査すると、性犯罪者は余罪の兆候を示すそうだ。その数は、12から100以上にも上るという。
アンナ・サルターは、性犯罪者のうち逮捕されるのは5%以下だと言うから恐ろしい。
また、性犯罪で収監され、治療プログラムに参加した26人を対象にした調査では、一人につき平均3件の性犯罪を認めたという。別の23人を治療プログラムが義務付けるポリグラフ(ウソ発見器)にかけたところ、平均してなんと175件の余罪を示したという。
このように、性犯罪の再犯率は測定することが難しく、上記の数字は「逮捕されて有罪判決を受けた再犯率」を示しているだけであり、実際の再犯率は想像つかないほど高いということを理解されたい。
アメリカの子どもへの性犯罪統計
アメリカのケースだが、性犯罪の統計をまとめてみた。
統計
- 未成年者への性犯罪: 女児4人に1人、男児6人に1人
- 犯人が家族が親戚:34%
- 犯人が知人:90%
- 犯人が男性:96%
- 犯人が成人:76.8%
- 性的被害に遭った平均年齢:9歳
(source: invisiblechildren.org)
子どもへの性犯罪の容疑者は90%以上が知人
驚くなかれ、性犯罪の容疑者の90~95%が知人によるものだと言われている。性犯罪を含む殺人となると比率は下がるかもしれないが、性犯罪がいかに身近なものであるかが分かる。
もちろん「知らないオジサン」「気味の悪いオジサン」が犯人である場合もあるが、多くの性犯罪は、家族を含めた知人である。
性犯罪者は「グルーミング」という行為を子どもにする。グルーミングとは、子どもの警戒心を解いて、信頼を得ようとする行為である。子どもの警戒心を解き、友情や絆を築いてから犯行に及ぶのだ。
性犯罪者はときに子どもの親も吟味する。どこまで子どもに近づいていいか、親の反応を伺うのである。親と子の両方の信頼を得て、子どもを映画やスポーツの試合に連れ出すことができるかどうか、二人きりになれる隙がありそうか、注意深く様子を伺う。
また、性犯罪者は標的にした子どもを贔屓したり、特別扱いする。誕生日でもないのに贈り物を頻繁に送ったり、「お前は特別だ」と声をかけたりして子どもの承認欲求を満たしたり、秘密を共有して絆を深めることで手なづけていく。性暴行に及んだあと、子どもが親や誰かに言いつけられなくなるまで、子どもをグルーミングする。
逆にプロフェッショナルな教師や指導者ほど、子供への好き嫌いを悟られるようなことはしない。
性犯罪者は子どもの近くにいられる立場を選ぶので、教師、保育士、スポーツのコーチ、スクールカウンセラーなどの職種に就こうとする。教育者による性犯罪が少なくないのはそのためだ。(言うまでもないが、この職種についているからといって性犯罪者というわけではない。)
児童性犯罪者の姿
児童性犯罪者は男性だけとは限らない。上記統計では、女性の犯人が3%となっている。独身もいれば既婚者もいるし、青年もいれば高齢者の性犯罪者もいる。既婚で奥さんと仲がいいからといって、子どもと性交をしようとしないとは限らないのである。
さらに上記統計でいえば、23.2%が未成年による犯行なので、自分の子どもより数歳年上の子どもでさえも性犯罪者になり得る。
実は私も小学生の頃に性的被害を受けたことがあるが、相手は自分より年上の中学生だった。子ども同士だからといって安心してはならない。
男児も女児も被害者になり得る
日本ではなぜか男児への性犯罪の認知度が低く、男児は被害に遭わないと勘違いしている人が多いようだが、アメリカでは女児も男児もそれぞれ4人に1人と6人に1人だ。
男の子をもつ親御さんも、女の子をもつ親御さんと同じように危機感を持たなければならない。むしろ性犯罪者は男性がほとんどなのだから、トイレや更衣室、銭湯、温泉を共用する男児のほうが危険にさらされる機会が多いと言えるだろう。
さらには聞くに耐えないことだが、海外では3歳どころか0歳児までレイプされているのが現実だ。私は海外での乳幼児へのレイプを知ってから、赤ちゃんといえども裸を他人に見せてはならないことを学び、たとえ成人女性であっても見せずにいた。(なお、おむつ替えが必要な時、同席しているアメリカの成人は、よこしまな思いがない限り、席を外してプライバシーを確保してくれる。)
性的虐待を受けた子どもの特徴
性的被害を受けた子どもは、恥ずかしさを感じ、例外なく自分を責める。そのため、親にも誰にも言わないことが多い。
親と良好な関係にあり、親に信頼を寄せている子どもほど、性的虐待を告白しやすいことが分かっているので、子どもと信頼関係を保つことも大事だ。
以下に、性的虐待を受けた子どもが示す兆候を紹介する。
- 特定の場所に行きたがらない
- 特定の人に会いたがらない
- 年齢に不相応な性知識
- 性行動の真似(就学前の子どもが腰をふる仕草を見せるなど)
- 大人にセクシーさをアピールする
- 局部を異なる名称で呼ぶ
- 学校での素行不良、成績不良、問題行動
- 家族、友人と距離を置く
- クラブ活動などを辞める
- おねしょ
- 暗闇を怖がる
- 摂食障害、過食、拒食
- 気分の変動、躁鬱、敵意、攻撃的な言動
- 年上の友人、知り合いについて話す
- 見覚えのない玩具やプレゼントを持っている
- ドラッグ、アルコール
- 自傷行為(リストカット、爪噛み、抜毛症など)
- 自殺願望
幼い頃に受けた傷は、一生涯にわたって被害者を苦しめることになる。詳細は慎むが、経験者である私もいまだに上記リストに当てはまる兆候があるし、過去のことは鮮明に覚えていて記憶から逃れられずにいる。
両親とは良好な関係ではあるが、罪悪感や両親を悲しませたくない故に結局言わず仕舞いの30年間である。告白しようかと思う時もあるが、年老いた両親のことを思うとやはり言えずにいる。
次回は対策について考察する。