やなぎやさんに褒められたので調子に乗って2021年前半に読んだ本を紹介しますよ。
- 2021年前半に読んだ本
- 1.見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか
- 2.大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学
- 3.無意識のバイアス——人はなぜ人種差別をするのか
- 4.コロナ自粛の大罪 (宝島社新書)
- 5.新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか
- 6.コロナパンデミックは、本当か? コロナ騒動の真相を探る
- 7.本当はこわくない新型コロナウイルス 最新科学情報から解明する「日本コロナ」の真実
- 8.戦略で読み解く日本合戦史 (PHP新書)
- 9.一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書
- 10.一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書【経済編】
- 11.レイシズム (講談社学術文庫)
- 12.「超」入門 失敗の本質
- 13.なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか 日中韓 熾烈なイメージ戦
- 14.「アメリカ」の終わり “忘れられたアメリカ人”のこころの声を聞け
- 15.孫子・戦略・クラウゼヴィッツ--その活用の方程式
2021年前半に読んだ本
1.見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか
「目に見えぬ侵略」のクライブ・ハミルトンによる中国共産党の世界侵略を暴いた第二弾。
ハミルトンはオーストラリアのキャンベルのチャールズ・スタート大学教授で、前著「目に見えぬ侵略」ではオーストラリアにおける水面下での中国共産党の侵略戦略を暴いた。
「目に見えぬ侵略」はベストセラーとなり、原題の「サイレント・インベージョン」という言葉が日本でも知れ渡るようになった。
2年後の2020年、ハミルトンはマレイケ・オールバーグと本書「見えない手~中国共産党は世界をどう作り変えるか~」を上梓。本書では主にアメリカやヨーロッパなど西側世界全体での中国共産党による影響工作を暴いている。
中国共産党の手は西側諸国の政界、財界、大学、シンクタンク、国連などの国際機関にも深く伸びている。地理的に中国に近く、すでに中国の実態が十分に知られていた日本ではよく指摘されてきた中国共産党による影響工作であるが、よくぞここまで調べ上げたと著者の調査能力に感嘆するとともに中国共産党の影響工作が想像以上に深刻であることに驚愕した。
民主主義を利用して民主主義を弱体化させるという恐ろしい戦略と徹底的に統一された中国共産党の影響力を前に、果たして私たちはどのように民主主義と自由社会を守っていけるのだろうか。
資本主義による経済格差が限界まで拡大し、資本主義社会の限界を感じつつある今だからこそ、西側諸国でも共産主義に共鳴する人は増え、その影響力は増してきているといえる。
ただし、中国共産党の影響工作が明らかになってきた今だからこそ、これまで一方的に攻められてきた日本は中国による反日工作(韓国による反日工作にも中国の影響がある)への巻き返しを図る最大のチャンスともいえる。
むろん、アメリカはともかく日本に大局的な戦略があるとも思えないし、日本にも中国の手は伸びていて親中派議員や経財界の大物に親中派が多い以上、日本が中国に抗拒しようとする可能性さえ少ないだろうが・・・
そんなどっちつかずの態度でいるうちに西側諸国も日本に呆れ、日本を中国と同じ敵性国家としてみなしてしまう危険性もある。それこそが日本の悲劇である。
2.大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学
子どもが小学6年生なので、遅ればせながら所謂教育本なるものを読み漁り始めた。
とは言っても、子どもを名門学校に入学させることを目的として読んでいるわけではない。
私は現行の学歴偏重主義、択一式テストで生徒を評価するだけの教育システムには多くの問題があると考えている。
数年前、アメリカで名門大学への裏口入学(俳優などの富裕層が子どもを名門大学に入学させるために数万ドルからハーフミリオンドルを大学側に渡していた事件)が発覚し、国民から非難の嵐が起きた。
実は名門大学と富裕層の入学希望者の間をとりもつ仲介人もいて、成約すると仲介料をもらう仕組みになっている。
これは、学歴も金で買える時代になったことを実感させられる事件だった。
自分自身の経験を照らして考えてみても、果たして大学まで卒業して何を学んだのだろうかと疑問に思うことも多い。(勿論、得たことも多いけれども。)
多くの人は、卒業後数年後には学んだ内容を忘れてしまう。
実はアメリカの名門大学は開放されているので、誰でも忍び込んで受講することができたりする。
でも誰もそれをしない。
何故かというと、イエール大学やプリンストン大学にこっそり忍び込んで世界一の教授のクラスを受講しても、卒業証明書や修了証書が貰えないからである。
では、授業の内容をしっかりとマスターしたが卒業前にドロップアウトしたために修了証書を持たない者と、Aをとりやすい教授の授業を選び、ろくに身に付かずに修了証書を手にした者のうち、ビッグファームはどちらの候補者を選ぶだろうか?
現在の社会では、ビッグファームが選ぶのはもちろん後者である。
となると、若者やその親たちが欲しがるのは名門大学で学ぶ知識やコンテンツそのものではなく、名門大学の修了証書ということになる。
かくして教育一大ビジネスの出来上がり、日本ではもはや塾通いは当たり前、どこの塾のどの先生がいいだとか、どの高校が名門大学への一番の近道になるか、親たちは積極的に情報交換し、可能なリソースのギリギリまで尽力して我が子を名門校へ入学させようと必死になる。
ところが最近の研究では、名門大学を卒業したことと社会的に成功することには関連性がないという。
グーグルのあるCEOは、新入社員のうち芽が出ずに2年もたたないうちに去っていくのは名門大学を卒業した者だという。
では名門大学を卒業することの意味は?
本書は大学に行くことの個人的・社会的なリターンを経済学の視点から分析・論述している珍しい本である。
3.無意識のバイアス——人はなぜ人種差別をするのか
前にも紹介したことがあるけれど、スタンフォード大学のジェニファー・エバーハート教授による人間の無意識のバイアスを論じた本である。
無意識のバイアス(偏見)はときに悪意ある偏見よりタチが悪い。それは、悪意ある偏見より広く蔓延っている人間心理なので私たちは積極的に学ぶ必要がある。
エバーハート教授自身が黒人ということもあり、深層心理への切り込みが鋭い。
4.コロナ自粛の大罪 (宝島社新書)
コロナ自粛によってボロボロになった日本。
帯に「政府、専門家、医師会の無策&無責任」とあるように、テレビでは報道されない事実が掲載されている。
また、コロナ自体ではなく、コロナによる間接的な悪影響も紹介しており、コロナ自粛への疑問を呈している。
5.新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか
コロナとどう付き合うべきか。コロナウイルスの正しい知識を得たいという思いから手に取った一冊。
高齢者である両親とも同居しているので決してコロナを軽んじないようにしたいとは思っているが、データや数字を見る限り、人々が極度に怖がるようなキラー・ウイルスとは思えない。でもテレビでは連日「感染者数」を発表し、速報まで出ている。
果たして真相はどうなのだろう?
読めばコロナへの理解が進むはず。
6.コロナパンデミックは、本当か? コロナ騒動の真相を探る
こちらはドイツ発のコロナの本。
ドイツを初めとするヨーロッパ諸国は日本よりも厳しいロックダウンを強いたが、果たしてそれは正しい判断だったのか?ロックダウンの効果は?
去年から何冊も読んでいるので、私自身はコロナはインフルエンザ同等という考えに傾倒しているが、何に対しても常にニュートラルな視点は忘れないようにしようと努めているので、本もなるべくニュートラルなものを選ぶようにしている。
7.本当はこわくない新型コロナウイルス 最新科学情報から解明する「日本コロナ」の真実
こちらはコロナウイルスを恐れるべきではないという視点の一冊。
8.戦略で読み解く日本合戦史 (PHP新書)
海外ドラマ「ヴァイキング」熱はまだ冷めず、戦略について書かれた史書を読んでいる。
こちらは日本合戦史。
9.一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書
こちらも「ヴァイキング」絡みで世界史を学び直そうと思って選んだ一冊。
且つ、子どもがそろそろ歴史を学び始める年代(世界史はまだ先かもだけど)になってきたので、教えられるようにしなければという思いから。
だいぶ忘れているので、手始めとしてyoutubeでも人気の先生が書いたというこの一冊を選んでみた。
まぁ、年なので一度読んでも忘れているが、確かに分かりやすい。
10.一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書【経済編】
「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」がよかったので、こちらも読んでみた。
重複しているものも多いが、経済・金銭・貨幣についても分かりやすく書かれている。
11.レイシズム (講談社学術文庫)
「菊と刀」で有名なルース・ベネディクトがレイシズムについて書いた一冊。
12.「超」入門 失敗の本質
旧日本軍と現代日本に共通する組織的な問題・ジレンマについて語った本で、「失敗の本質」を分かりやすく簡潔にまとめた一冊。
大人にはちょっと簡単すぎるかな?
学生にはちょうどよいレベルだと思うが、大人は「失敗の本質」を読んでしまったほうがいいかもしれない。
それから海外に長期滞在して文化比較スキルがある人も既知のことが多いので本書ではなく「失敗の本質」を読むことをおススメする。
13.なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか 日中韓 熾烈なイメージ戦
「パブリック・ディプロマシー」つまり外交情報戦略について語った一冊。
期待していたが、「なぜ日本の正しさは世界に伝わらないのか」の明確な答えは書かれておらず、むしろ中国・韓国のプロパガンダ戦の凄さにフォーカスしている。
一方で、中国のプロパガンダ戦については上で紹介した「見えない手」に数十倍も詳説されているので既知の情報が多く、残念ながら私には実りがなかった。
なぜ日本の正しさが世界に伝わらないのかを掘り下げてもらわないと、日本の情報戦は今後も低迷したままだろう。
実は私は日本が情報戦で起死回生できるようなアイデアとヒントは多少あるのですが、体系的に論述できる能力と体力がないので御免なさい。
14.「アメリカ」の終わり “忘れられたアメリカ人”のこころの声を聞け
世界の覇者アメリカの終わりを私たちは目撃するのだろうか?
世界から見ただけでは分からないアメリカの内情を在米30年の筆者が語る。
アメリカに住んでいたので大体知っていることが多かったが、日本人の多くは知らないことが書かれているので是非一読することをおススメしたい。
15.孫子・戦略・クラウゼヴィッツ--その活用の方程式
こちらも海外ドラマ「ヴァイキング」絡みで読んだ一冊。
古代の戦略家として有名な孫氏とクラウゼヴィッツを比較しながら紹介している。
正直、孫氏について書かれた本が多すぎるのでどれを読んだらいいか分からないので、中~高程度のお勧めの書籍があったらコメント欄にお願い。