ミセスGのブログ

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アメリカのERで6時間過ごしたら医療費が130万円だった件

アメリカの医療費

アメリカの医療保険がバカ高い話は、だれしも一度くらいは耳にしたことがあるかと思う。

盲腸で100万かかったとか、妊娠分娩で100万かかったとか、電動工具で指を2本切り落としてしまった人が保険会社から指1本分しかカバーできないと言われて1本しかつけられなかったとか、ホラー映画より恐ろしい話もある。

これらは都市伝説のように思われるかもしれないが、断言する、本当の話である。

アメリカの医療費はバカ高い。ゼロが一つ多いどころではなく、2つも3つも多いくらいバカ高い。

さらにオバマケアによってこれまで保険に入れなかったようなリスクの高い人たちが(強制的に)保険に加入させられた。これによって国民が負担する保険料がさらに上がってしまったのだ。(※オバマ後のトランプ政権によってオバマケアは事実上廃止)

オバマケア施行以後、健康保険に加入していない者には罰金さえ科されるようになった。2016年の罰金は一人当たり695ドルで、確定申告時に払う羽目になる。

アメリカに住む外国人も例外ではない。先日、確定申告してきた時に会計士からもそう言われた。すでに医療保険に悩まされ続けてきたアメリカ人には踏んだり蹴ったりである。

 

アメリカのER体験記

アメリカの医療費

少し前の話だが、私もERに運び込まれたことがあった。ERに行ったのはこれが初めてではないが、これほど重症だったのは初めてだ。

ある日、持病の腰痛が悪化し、1cm動くだけで激痛が走るようになった。ぎっくり腰は以前にもやったことあるが、今回は「もう殺してくれ」と思ってしまうほどの激痛だった。

しかも旦那が仕事で2時間半も離れた場所にいたので、家には私と小さな娘のみ。仕事中の旦那を呼び戻すのは気が引けたものの、一歩も動けないことに気づいて、やむなく旦那に戻ってもらった。

旦那が仲良しのお隣の友人に電話をして、娘を引き取りにきてもらった。

2時間半後、旦那が到着。

旦那にERに運んでもらうことに。救急車を呼ぼうかと思ったが、どの病院に連れて行かれるか分からなかったので、自分たちで行くことにした。

このとき、朝11時半くらい。

ERの駐車場に着き、車椅子に乗ってERに入る。旦那が受付を済ませる。ERの受付では保険のカードと旦那のIDなどを見せる。ERで支払いをすることはなく、請求がある場合は後日郵送で請求書が送られてくる。

動かなければ痛みがないのだけが幸いだった。

ERはいつも混んでるが、この時はほとんど待つこともなく中に通された。

男性の看護師が担当してくれた。看護師にいろいろ質問され、血圧測定などお決まりのルーティーンのあと、医師が現れ、診察を受けた。

腫れ・炎症を抑える薬、モルヒネ、そして吐き気を抑える薬の3種類のカクテルミックス混合薬が点滴で入れられた。

昨夜から痛みに耐えていたので疲れてしまい、だらーんと伸びていたら男性看護師が「大丈夫?ヌードルみたい」と言われた。(ちなみに彼は元米兵だった。)

「最初に身体の中が温かくなる感じがして、その後チクチクする感じがありますよ」と言われたら、本当にその通りだった。

でもなんかフワフワしてきて、いい気持ちだった。

しばらくすると、痛みが和らいできたので、MRIをとった。

その後、医師から強い鎮静剤(服用)を処方され、夜6時くらいに家に帰ることができた。痛みも大分取れて、歩けるようにもなった。

 

ERでの治療費が130万

ERにいた時間はおよそ6時間くらいだったろう。

後日、明細書が届いた。ドキドキしながら見ると…

お代は130万円を超えていた。

保険会社がすべてカバーしてくれたので1円も払わずに済んだのだが、医療保険を持っていなかったらと思うと恐ろしい。

「じゃあ医療保険あれば問題ないでしょ?」と思うかもしれないが、そう簡単なことではない。

なぜなら保険代もバカ高いから。政府が介入していないので、医産複合体企業が医療費や薬価を自由に設定できるからである。(我が家のように政府系の保険なら十分払える価格。あるいは福利厚生の手厚い大企業勤務とか。)

オバマケアでさえも、80~90%カバーされるプラチナやゴールドプランなら、夫婦二人で保険代が月10万はかかってしまうだろう。

逆に保険代を低く抑えようとすると、窓口での自己負担金が多くなってしまう。さらに、年3000ドルまでは自己負担などの制約もある。

アメリカで自己破産する人の多くは医療破産である理由がお分かりになるだろう。しかも、医療破産した人の多くは医療保険を持っていた人たちなのだ。

アメリカの医療技術は世界一を誇るのに、その恩恵を受けられる人は一握りであるというこの理不尽さ。アメリカの医療保険改革の道のりは長い。