ミセスGのブログ

海外ドラマ&映画の感想、世の中のお話

Netflix映画「The Seige of Jadotville ~ジャドヴィル包囲戦ー6日間の戦いー」の感想

f:id:oclife:20161103084121j:plain

© Karen Ballard / Netflix

Netflixオリジナル映画「ジャドヴィル包囲戦ー6日間の戦いー」の感想です。

原題は The Seige of Jadotville

舞台は中央アフリカのコンゴ南、カタンガ州にあるジャドヴィル。

ジャドヴィルに派遣されたわずか150名のアイルランド人国連平和部隊が、ベルギーとフランスの鉱山会社に雇われたカタンガ州憲兵隊3000名と6日間にわたって繰り広げた戦いです。

The Seige of Jadotville ジャドヴィル包囲戦ー6日間の戦いーの感想

簡単な背景

コンゴってここ。赤く囲ってるところがカタンガ州。

f:id:oclife:20161031101647j:plain

コンゴは今も内紛が続いており、民兵や軍によるレイプなどが多発し、女性にとって最も恐ろしい国ともなっています。

コンゴは1960年にコンゴ共和国としてベルギー領から独立します。

コバルトやウランなど豊富な地下資源が埋蔵されていることから、独立後も熾烈な内紛が続きました。これがコンゴ動乱です。コンゴ動乱は冷戦下のアメリカ・ソ連の代理戦争でもあります。

そのコンゴ動乱下で国連がジャドヴィルに送ったのが国連平和軍のアイルランド部隊150名でした。

国連平和軍アイルランド部隊

映画をみると分かりますが、アイルランド部隊は戦争の実戦経験がない若者ばかりです。

そんな若者ばかりで、しかも150名のみ、相手は3000人。

物資も食料も弾薬も限られていて、応援部隊も来ない、四方と空から攻められて、よく6日間も持ったなというのが正直な感想です。

後に交戦する相手のフランス人司令官さえも最初からアイルランド部隊を見くびっていました。

確かにアイルランドは第二次世界大戦にも参戦していませんし、戦争という戦争はアイルランド独立戦争やアイルランド内戦くらいのものです。

しかし実際にこのジャドヴィルの戦いで命を落としたアイルランド人兵士はゼロ、負傷者5名です。

一方、カタンガ側は300名が命を落としています。

なにこれスパルタンみたい。

しかも派遣された場所は、四方八方から見渡せるオープンな場所で、しかも丘陵の下にあるんです。ハイグラウンドから狙われたら一発で終わりじゃんみたいなところ。戦略的にあり得ないロケーションでした。

アイルランド軍、やるなぁ。

カタンガ側

国連平和軍のアイルランド人兵士たちの交戦相手は、カタンガ州にあるフランスとベルギーの鉱山会社に雇われたカタンガ州の憲兵たちです。

リーダーはフランス人です。

この敵側がダーティな戦いばかりするんです。

アイルランド国連平和軍のリーダーに、死体を片づけて埋葬するために停戦許可をとりつけたと思ったら、死体を片づけるジープなどから襲撃者をこっそり配備したり。

飲み水に毒を入れたり。

戦争が始まる前に、アイルランド人リーダーのクィンランとフランス人リーダーが酒場で偶然会って緊張感のある会話をするんですが、アイルランドが戦争経験がないことからアイルランド人を過小評価していたことが分かります。

キャラクター

アイルランド人リーダーのクィンランは若いけど誠実で思慮分別のあるタイプ。

今をときめくジェイミー・ドーナンだということに後から気付いた私。

キャラを大げさに作ってないので、とてもリアルで好感がもてました。

左がクィンラン。右が軍曹(No.2)です。

f:id:oclife:20161103095710j:plain

© Karen Ballard / Netflix

私のお気に入りキャラの一人は、この軍曹。渋くてカッコイイ。

クィンランにも忠実でした。

ツカえそうなにおいがプンプンしてます。

次にお気に入りのキャラはスナイパー。

狙撃手なのでそのままスナイパーと呼ばれていました。

f:id:oclife:20161103095952j:plain

© Karen Ballard / Netflix

クィンランの機転で、総攻撃を仕掛けられた時に、スーツ姿のベルギー人ボスの狙撃に成功。フランス人ボスがそれに気づいてすぐに撤退します。

やっぱスナイパーの威力はすごい!

そして私の大好きなルース・ボルトン様が将軍役で出ています。

国連上層部と兵士の間に挟まれてしまう役でした。

f:id:oclife:20161103100850j:plain

© Karen Ballard / Netflix

まとめ

内容としては、マイケル・ベイのベンガジ米国領事館襲撃の映画「13時間」 に似ています。

多勢に無勢で地理的にも物資量的にも圧倒的に不利な状況で、もちこたえます。 


こういう不利な状況を切り抜ける話は、エンターテインメントとして見るにはスリリングでおもしろいです(不謹慎ではありますが。)

両方、史実ですので見て損はないと思います。

どちらの映画も、現場の兵士は使い捨てにされるという悲しい事実を突き付けられます。

政治家はどこもクソですね。

「ジャドヴィル包囲戦」のアイルランド兵士たちは、最後のクィンランの判断で降伏したことから「臆病者」と非難されたそうです。酷いですね。2005年にやっと栄誉が与えられたということです。

歴史というのは表面だけ見ては分からないことがたくさんあります。真実は真逆であることが度々あるので、こうして真実を知るきっかけとなってくれる映画を見れるのはありがたいです。