日本でも大人気のウォーキング・デッド。
シーズン7まであと1か月!
ウォーキング・デッドの放映が始まる1年前くらいだろうか。「ゾンビのドラマが出るらしい」という噂を聞いた私は、興奮を隠せなかった。もし私がビリオネアだったら何をするかって、ゾンビの映画を作るっていうぐらいゾンビ好きだから。
始まる前から、ヒットするのは分かっていた。
なんでって、ゾンビの価値を知っていたから。むしろロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が作られた1968年から、ゾンビのドラマが制作されるまでに実に40年もかかったことの方が驚き。
実際、ドラマは予想よりも良い出来映えだ。でもゾンビものの映画は、実はB級C級の映画が多くて、クオリティがよいゾンビ映画は、なかなか出てこない。
今回は、ゾンビ映画はほとんど見ている古くからのゾンビファンの私が、ウォーキング・デッド好きなら見なきゃ損なゾンビ映画を紹介する。年代の古い順に挙げて行く。
ゾンビ映画おススメ作品
1.ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968年)
ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督によるゾンビ映画の金字塔もいえる作品。人によってはゾンビ映画の最高傑作と称える人もいるぐらい。1968年制作とは思えないほど、現代でも通用できる完成度の高さ。このあと、ゾンビ映画が次々と制作される。ゾンビの先駆け的存在。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッドは、この後も数本リメイクが作られている。
個人的には1990年のトム・サヴィーニが監督したリメイク「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド~死霊創世記」が好き。
このあとロメロは、70年代に「ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)」、80年代に「死霊のえじき(デイ・オブ・ザ・デッド)」を製作し、ゾンビを代表する「ゾンビ三部作」として知られることになる。
あらすじは、墓地にやってきた兄と妹のもとに突然ゾンビが現れ、兄が襲われてしまう。妹は一軒家に助けを求める。一軒家に避難してきた他の生存者とともに、家に立てこもって、ゾンビを相手にサバイバルを繰り広げるという話。
2.ゾンビ(1978年)
原題:ドーン・オブ・ザ・デッド
ナイトに続く、ゾンビ三部作の二作目がこれ。
ショッピングセンターに避難してきた数名の生存者たちが、ゾンビと人間を相手にサバイバルする。この当時のゾンビのメイクと現代のメイクの差がおもしろい。この当時は顔を青白く塗りたくったメークで、腐敗はあまりない。その青白さと貪った人間の内臓や血の赤さのコントラストもショッキングだった。
ウォーキング・デッドでもテーマとなっている「本当に怖いのはゾンビではなくて人間」というテーマは、ロメロが70年代にすでに描いていたのだ。
ロメロの描く終末観を堪能できる一作。
When there is no more room in hell, the death will walk the earth.
(地獄に死者が溢れると、死者が地上を歩き出す)
という名言もここから生まれた。リメイク版ではオリジナルに出ていた役者(主演の黒人男性)が神父役としてテレビの中で同じ言葉を口にする。ロメロファンならすぐにハッとする一文。
2004年にリメイクが作られたが、リメイク版ではゾンビが走る。
ゾンビ三部作の中では、個人的にこれが一番好き。とにかく見てほしい。
3.死霊のえじき(1985年)
原題:デイ・オブ・ザ・デッド
ロメロ三部作の最終章。
ゾンビ vs 米軍。地下のミリタリー基地に避難した数名の兵士たちだが、人間同士で争い始める。
この作品では、ゾンビに初めて「バブ」という名前が与えられた。
今でこそ三部作はよく見られるようになったが、60年代~80年代の間に三部作で、しかもゾンビ映画をこれだけの規模で制作したのは、まさに偉業である。昨今は予算も乏しいためか、ランド・オブ・ザ・デッド以降、迷走しているロメロだが、ゾンビの第一人者としての地位は不動。
以上ロメロの三部作は、原題は Night of the Living Dead, Dawn of the Dead, Day of the Dead と、夜、夜明け、昼と時間軸を意識したタイトルになっているのだが、邦題でゾンビ、死霊のえじき、にされてしまったため、三部作であることが分かりにくくなってしまった。
ちなみにミーナ・スヴァリさん主演でリメイクが作られたけど、あっちはクソなので見なくてもいい。
4. デモンズ2(1985年)
イタリアの奇才、ダリオ・アルジェントの作品。
小さい頃に見てえらく怖かった記憶がある。
テレビからデモンズが出てきちゃうという不思議は置いておいて、ゾンビものとしては優秀な一作です。犬のずる向けゾンビが強烈でした。
高層マンションという閉ざされた空間でゾンビから逃げ惑う住人たち。
デモンズ1は、映画館が舞台。そっちも面白いので、セットで見るのがおススメ。
5.バタリアン(1985年)
(原題:リターン・オブ・ザ・リビング・デッド)
コアなゾンビファンは、「やっぱりゾンビは歩かないと」と走るゾンビが嫌いな人も多いが、走るゾンビは許さん派が唯一許せて、人気が高いと言われているのがこの『バタリアン』だ。監督はダン・オバノン。
ロメロの「死霊のえじき(デイ・オブ・ザ・デッド)」と同じ年に制作されている。
みよ、この80年代のロックな若者を。
やっぱ80年代っていいわ。80年代は音楽も良かった!!
タールマンやオバンバなど、個性的なゾンビキャラも登場。
怖いゾンビ映画ながら、ブラックユーモアに溢れていて、何度見ても面白い。最後も秀逸。パッケージも素敵。
5作目まで続編が作られたが、1作目と2作目だけ見ればよい。あとは駄作。
6.バタリアン2(1988年)
(原題:リターン・オブ・ザ・リビング・デッド2)
バタリアンの続編。
バタリアンが最高の出来のせいか、比較されてしまって評価はあまり良くないようだが、ゾンビファンとしてはかなり面白かった。
アクションもあるし、ブラックユーモアもある。
ゾンビものが好きなら見て損はない。
7.ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(死霊創世記)(1990年)
68年のロメロ作品のリメイク。監督はゾンビファンなら誰でも知ってるトム・サビーニ。トム・サビーニはロメロの「ゾンビ」や「ランド・オブ・ザ・デッド」にも出演している。
ナイトのリメイクとしては、これが好き。
ショートカットの主人公女性も可愛い。 オリジナルとの違いで、最初はいたいけな女性だった主人公が少しずつ勇気とたくましさを身につけ、強くなっていくところが90年代らしい。ゾンビの動作がゆっくりなことを指摘し、これなら逃げられると他のメンバーを説得しようとするまでになる。
8.28日後(2002年)
正確にはゾンビというより「レイジ・ウイルス」に感染して狂暴化した人間なのだが、人間を殺しまくる狂人がゾンビそのものなのでゾンビものと思ってよい。
舞台はロンドン。誰もいなくなったロンドンの街並みなど、趣がある。感染した人間もめちゃ怖い。
前半は主人公が病院で目を覚ましてからワケが分からないままゾンビから逃げまくり、見知らぬ人と仲間になり、避難所を求めるが…
後半は軍が関わってきて一変する。
前半と後半でガラリと変わるのも面白いと思う。
ゾンビ・ワールド通称Zワールド(誰も呼んでない)では人間の方が怖いというテーマは共通するようだ。
9.ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年)
1978年ロメロの「ゾンビ(原題ドーン・オブ・ザ・デッド」)のリメイク。走るゾンビということで、リメイクながらもロメロが拒否反応を起こしたと言われている。
歩くゾンビだけでなく走るゾンビも好きな私としては、バタリアン同様に面白かった。
走るゾンビの映画の中では、バタリアンとこれが一番好き。
ザック・スナイダー監督作品では、これと『300(スリー・ハンドレッド)』のスピード感とテンポの良さが好き。
スピード感に溢れ、アクションも満載。最後も良かった。
続編を期待しているが、なかなか出てこない。
10.ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年)
ゾンビファンからも評価の高いゾンビコメディ。コメディといってもしっかりゾンビもの。ホラーコメディというジャンルが好きじゃなかったので避けていたのだが、ゾンビファンにもホラーファンにも評価が高いので見てみたら納得の一作だった。
ゾンビコメディとしては「ゾンビランド」も有名だが、ショーン・オブ・ザ・デッドには及ばない。
11.ランド・オブ・ザ・デッド(2005年)
ロメロ三部作以降、初の大型予算ゾンビ作品。主演に「メンタリスト」のサイモン・ベイカー、ジョン・レグイザモやデニス・ホッパー、そしてヒロインにアーシア・アルジェント(ホラー界の巨匠ダリオ・アルジェントの娘)と豪華な顔ぶれ。
サイモン・ベイカーはメンタリストで頭脳明晰だけどひ弱で戦えない役だが、こちらではストリートを知る強い役なのが印象的。
ゾンビの大群が押し寄せたときに主人公一行が全く別の場所にいる、という致命的な失敗を犯してはいるが、規模が大きい堂々たるゾンビ映画なので、見ておいて損はない。
グローバル社会によって富める者 vs 貧しい者、持てる者 vs 持たざる者の構図が少しずつ表面化しつつあるが、このランド・オブ・ザ・デッドは私たちの社会の行きつく先を象徴している。
また、死霊のえじき(原題:デイ・オブ・ザ・デッド)で博士が調教していたゾンビ「バブ」に代わり、今回も意思を持ったゾンビが登場し、ゾンビの大群を率いて行く。
12. 28週後(2007年)
「28日後」の続編。
28日後から半年経過したイギリスが舞台。
冒頭から最後まで、息をつかせない緊迫感とスリルがたまらない。
レイジウイルスに感染した人間なので、アスリートのように早い。
感染者の姿がほとんど見られなくなり、軍がコントロールしているロンドンから始まる新たな恐怖。
アクションも満載。
特にロンドンの空爆シーンは圧巻!!
ロバート・カーライルも主演級で出演しているのが嬉しい。
また、ブレイク前のジェイミー・レナーが兵士役で出演、格好いい姿を披露してくれる。
13.『Rec』2007年
スペイン映画。スペインのアパートという密室の中でゾンビが発生。アパートが隔離され、外に出ることもできないまま、アパートの中の住人と通報を受けてやってきた消防隊員とTVレポーターがサバイバルを繰り広げる。
POV手法は嫌いなのだが、これはよく出来ていて面白かった。しかもアパートという狭い空間という設定の中でこれだけのものが出来たのはすごいことだ。
Rec2、Rec3、Rec4まで製作されているが、面白いのはRec2まで。Rec3とRec4も見れないことはないがイマイチ。
またアメリカ版リメイク Quarantine が製作されたが、こちらのオリジナルの方が面白い。
14.『クレイジーズ』2010年
こちらも1973年のロメロ作品「クレイジーズ」のリメイクだ。実はまだオリジナルを見ていないのだが、リメイクの方が評価が良いようだ。
ゾンビというかタイトル通り狂った人々なのだが、人は食べないがとにかく人を残酷に殺し始める。見た目もゾンビ並み。
主演は「ヒットマン」のティモシー・オリファントと、サイレントヒルなどホラー映画によく出演しているラダ・ミッチェル。
15.『ワールド・ウォーZ』2013年
ブラピもゾンビ好きだったのか…
ブラピの大作なので一応入れておいたけど、ぶっちゃけゾンビ映画というよりは、ハリウッド大作映画に過ぎない。走るどころかCGを駆使した津波ゾンビなので、ゾンビを見ているのか津波のように迫るゴミ溜めを見ているのか分からない。
やはりゾンビ映画に使うゾンビは、CGではなくリアルな人間を使った方が100%恐怖感が増す。でも最初の都市部&マンションの中でのブラピ家族のサバイバルがスリルがあって面白かったので、そこは見てほしい。
続編が2017年に公開予定。