こんなツィートを目にした。
朝通勤ラッシュの埼京線で痴漢を申告した勇敢な女性をみた。電車は3分ほど止まった。遅れた。周囲の独り言はこうだった。
— kurikuri321(試験中) (@kurikuri321) 2016年6月2日
「痴漢かよ、、、勘弁しろよ、、、ブスが粋がってんじゃねーよ遅刻するだろ、クズが」
何故か被害者が悪者。
これが埼京線の現実。
申告し突き出した彼女が悪人。
日本の非常識
これが本当なら、非常に遺憾である。
言うまでもなく、痴漢に遭った女性は何も悪くない。痴漢をした人が悪い。
それなのに、世界でもマナーが良く、親切であると知られる日本人が、電車で3分遅れるからという理由で痴漢にあった女性を「ブス」「クズ」扱いする心理はどこから来るのだろうか。
大震災の時も順序良く列を作って、暴動が起きる兆候など微塵も感じさせない平和な日本人が、電車が3分遅れてしまうだけで「ブス」「クズ」と暴言を吐く心理は何なのか。
ツィートした方は、「声を上げるプレッシャー」を感じると言っていた。日本人ならおそらく皆理解できる心理だと思う。
要は、これだけ欧米化が進み、欧米の良いところを取り入れても、「出る杭は打たれる」という文化は変わっていないということだ。
静かな満員電車の中で女性が「痴漢です」と申告すれば、静寂が破られ、足並みを乱されることになる。あるいは自分が遅刻することになって、時間に正確な日本人の輪から自分が脱落することになる。
日本人は周囲から逸脱する行為や言動を極端に嫌うのだ。波風を立てることを嫌う文化なのだ。
これは日常の会話でもふつうに見られる光景だ。
たとえば、友人グループで会話をしている最中、自分一人だけ意見が異なっていたら、あなたはどうするだろうか?殆どの人が自分の意見を押し殺して、皆に同調するのではないだろうか。それは一人だけ違う意見を言うことによって、足並みを乱すことや、自分が蚊帳の外に置かれることを嫌うからである。場合によっては周りにKYという評価を下されかねない。
これは外見にも言えることだ。日本人は黒髪、黄色肌、身長や体重もあまり大差がなく、似たり寄ったりの体形、外見なのだ。欧米のように金髪、赤髪、茶髪でもなければ、白肌、褐色肌、黒肌の人など、多様性に富んでいるわけでない。したがって、標準的な日本人の外見から逸脱している人をみると、一斉に注意がその人に向き、無言の圧力を発するのである。
一方、アメリカでは
アメリカでは逆に「一番うるさい歯車が一番先に油を注してもらえる」。声を上げた者だけが注意を向けてもらえるのだ。声を上げたからって、周りに白い目で見られることはない。むしろ、自分を印象付けることができるし、人々は声を出した者に耳を傾ける。
意見が皆と異なるなら、そう言えばよい。日本で「KY」だと言われる心配はまったくない。むしろ、リスペクトを得る可能性の方が高い。
痴漢に遭ったらどうすればよいのか?
私も通学・通勤していた頃、何度となく痴漢に遭った。時には毎回尾けられることもあった。
私は自分で気の強い方とは思わないのだが、痴漢に遭った際は必ず声を上げていた。声を上げずに痴漢を我慢するという選択肢は私にはなかった。声を上げるだけでも、痴漢魔は痴漢を止め、恥ずかしそうに周囲の白い目に晒されることになる。それだけでも十分にプレッシャーを与えられるはずだし、声を上げる女性が多くなれば、痴漢もしにくくなるはずだ。
痴漢を差し出すという荒業は私にはできなかったが(やっぱり遅刻したくないし笑)、日本人の女性には迷わず声をあげてほしいと思う。
また、周囲の人々も、痴漢という性犯罪に対して立ち上がる気概や姿勢をちょこっとでもいいから見せてほしい。周囲のサポートがあってこそ、女性も声をあげる勇気を持つことができる。周囲がサポートしてくれない中で孤軍奮闘を期待するのは、あまりにも無責任だし非情である。
波風を起こすのが苦手な私が波風を起こすことが大好きな人と結婚したのは偶然ではないかもしれない。