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【聖なる鹿殺し】感想:3月3日公開のビミョーなスリラー映画(ネタバレなし)

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聖なる鹿殺し:キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア


2018年3月3日公開予定の「聖なる鹿殺し:キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」を見た感想です。

主演はコリン・ファレル、ニコール・キッドマン。

ネタバレなし

【 聖なる鹿殺し】あらすじ

カリスマ外科医のスティーブン(コリン・ファレル)。彼が手術を手がけた男性が手術台で死んでしまいます。

亡くなった男性には妻と息子のマーティンがいました。スティーブンはマーティンを気にかけ、定期的に会ってはプレゼントをあげるなど、密かに交流していまいた。妻アナ(ニコール・キッドマン)には内緒。

ある日、スティーブンはマーティンを自宅に招きます。妻に真実を話すスティーブン。マーティンとスティーブンの年頃の娘キムも、距離を縮めていきます。

しかし、マーティンが徐々に不適切な言動をとるようになったことから、スティーブンはマーティンと距離を置こうとします。

そんなある日のこと、スティーブンの息子ボブが突然歩けなくなります。原因を調べるも、何も異常が見つかりません。アナとスティーブンはボブの介護をしますが、今度はスティーブンの娘キムも突然歩けなくなってしまいました。

スティーブンは、家族を救うために、究極の犠牲を迫られます・・・

 

ギリシア神話にインスパイアされた作品

聖なる鹿殺し~The Killing of a Sacred Dear~はギリシア神話にインスパイアされています。

ギリシア神話の英雄アガメムノンは、戦いのために船でトロイアに向かおうとします。しかし、出征時に逆風が吹いたため船出ができなくなります。

以前、女神アルテミスの聖なる鹿をあやまって殺してしまったアガメムノンは、娘のイーピゲネイアを生贄としてアルテミスに捧げれば解決するとの予言をうけ、苦悩の果てに娘を殺害します。(アガメムノーン - Wikipedia

イーピゲニアを殺さなければ、家族全員殺されてしまうという状況です。

 

【聖なる鹿殺し】の感想

ポスターも素敵だし、あらすじもなんとなくブキミでおもしろそう・・・そんな期待を微妙に裏切られた作品です。主演は大好きなコリン・ファレルなんですけど。コリン様は出演作に恵まれないような気もします。

コリン・ファレルはこれまで出演してきた中で最悪でした。でも、それはコリン・ファレルの演技が悪かったのか、製作意図のせいなのかはわかりません。出演者全体が同じような演技をしているので、もしかしたらこういう演技を指示されていたのかもと思うのです。

どんな演技かと言いますと、とにかくモノトーン。一本調子です。スティーブンも妻アナも娘キムも息子ボブも、全員感情を表さない冷たい演技です。まるで魂を抜かれた人形のようです。

富裕層の家族というスノッブ感を差し置いても、あまりに感情の抑揚がなさすぎて、登場人物にまったく共感が湧きません。「かわいそう」という感情も湧かないので、家族の不遇をそれはまるで日常の1シーンを見ているようにしか見れません。

マーティンは得体の知れない役どころなので、感情を表さない演技が神秘的で不気味な存在を強調しているので成功です。マーティンを演じるバリー・コーガンさんはダンケルクにも出演しています。ハンサムではありませんが、独特で強烈な存在感があり、今後が楽しみな俳優です。

物語はいい感じなのに、家族4人の温かみのない家族関係が映画を台無しにしているような気がしました。そこまで神話のようにしなくていいんですけど。不気味さはマーティンが出してさえいれば十分だったのでは?

おかげさまで最後のシーンも「えっ?・・・ふ~ん、あ、そうきますか?」みたいな、ゆるいレスポンスしか出ませんでした。ちょっと、あれはおかしくないですか?他の選択肢あったでしょうよ。それでいんですか?

ときどき挿入されるスティーブンとアナの夫婦の性生活もよく意味がわからなかった。どうしていつもあの姿勢をするんでしょうか。単なる性癖なのでしょうか。これもギリシア神話に関係があるような気もするけど、まぁ別にそこまで調べようとは思わない映画です。

ニコール・キッドマンは最近こういう映画ばかり出演していますね。本作では、髪の毛もかつての巻き毛で(金髪だけど)、化粧もあまりしてなくて、年齢がちゃんとわかるような風貌でした。年とったなぁ・・・中年太りが見られないのがなんか逆に怖いといいますか・・・もうちょっと太ってもいんじゃないかしら。

これ、もっとうまく作っていたら、「ファニーゲーム」に匹敵するような映画になったんじゃないかなと思うんですよね。不条理さを訴えるために罪の贖罪の在り方をギリシア神話にたとえたりなんていう視点はおもしろいですけど。

評価:35点