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【ミスター・メルセデス】ドラマのあらすじ感想:大量快楽殺人犯vsリタイアしたオッサン刑事

ミスター・メルセデス海外ドラマ


海外ドラマ【ミスター・メルセデス】のシーズン1を視聴した感想です。

大量快楽殺人犯 vs リタイアしたオッサン刑事。

二人の間には、事件担当刑事という意外にまったくコネクションがないけどオッサン刑事にこだわり続ける殺人犯。

刑事のキャラに愛着を覚えながらも、刑事としてはあまり有能ではないのがタマに傷!

警察も無能!

犯人のキャラ展開にもたっぷりと時間を費やし、モンスターの心の闇をのぞき見できるスリラーです。

実はスティーブン・キング原作の3部作「ビル・ホッジス」シリーズの第1弾です。

スティーブン・キングの「ビル・ホッジス」3部作
  • ミスター・メルセデス 本作
  • Finders Keepers
  • End Of Watch

 
2017年にシーズン1が放映され、シーズン2の製作も決定しています。ということはシーズン2が Finders Keepers になるのでしょうかね。

 

海外ドラマ【ミスター・メルセデス】のあらすじ

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メルセデス・ベンツを盗んで群衆に突っ込み、大量殺人を実行した犯人が捕まらないまま2年の月日が経過します。

事件を担当したビル・ホッジス刑事はすでにリタイアし、不健康な日々にふけります。

近所の子どもと口論したり、隣人の愛すべき色ボケ婆ちゃん「アイダ」に事あるごとに口説かれる毎日を過ごしていました。

そんな折、ホッジス刑事のもとに犯人からと思われるメッセージが届きます。

 

登場人物

リタイアした刑事ビル・ホッジス

ミスター・メルセデスの主人公ビル・ホッジス刑事

ホッジス刑事を演じるのは、アイルランド人のブレンダン・グリーソン。ハリーポッターシリーズにも出演していますが、私の中では「28日後」のお父さんフランクと「ヒットマンズ・レクイエム」の印象が強い。ヒットマンズ・レクイエムで共演した同胞コリン・ファレルがこの方をベタ褒めしていました。

毒も骨もある俳優です。


サイコな大量快楽殺人犯
ブレイディ

ミスター・メルセデスの犯人ブレイディ

IT技能はあるものの、希望が見当たらない地元の地味な電気屋でパソコン修理を担当している冴えない青年。殺人を思い出してマスターベーションにふける一方、母ちゃんに誘われたりペニスを弄られたりする。わたしと同じキョドラーだが、キョドリ具合は私に劣る。


ブレイディと何かしたがるアル中の母ちゃん

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アラシックス?アシックス?の母にして下着姿でカウチポテトと化すアル中のケリーなリンチ。ホットパンツやホルターネックでそのモリガリ鳥ガラボディを惜しげもなくさらけ出す。息子をいじりまくっている。


ビルの話を聞いてくれないかつての同僚刑事
ピート・オバマ・ディクソン

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大統領の仕事もしなかったけど、刑事の仕事もしないオバマ。ホッジスの言うことを全然聞こうとしないその無駄に大きい耳は無用の長物。


ハーバードに行く予定の好青年でビルの友人
ジェローム

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ブレイディの職場の上司
ロービー

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海外ドラマ【ミスター・メルセデス】の感想

犯人を探し当てるタイプのドラマではなく、第1話から犯人は明らかになっていますので、その前提で感想を述べていきます。

けっこうおもしろいです。最後まで退屈せずに一気に見ることができました。

まず目を見張ったのは、第1話の冒頭シーン。午前4時ころ、ハローワークで多くの人が列を作って並んでいます。その中には母親と2か月の乳児や、彼女たちをヘルプしようとする善意の男性など、様々な人がいます。

そこへメルセデスが現れて突っ込んでくるのですが、これがエグイ。よくこんなシーン撮りましたね。その前によくこれOK出たなと思うほど残酷で悲惨なシーンです。

車で突っ込む手段は、ここ数年、ヨーロッパやアメリカでもテロの手段として増えている手口です。母親や乳児までひき殺されるとか、「ドラマだから」なんて思いこもうとするも、「実際に起きているんだった・・・」と現実を思い出すと背筋が冷たくなる。

ドラマはブレイディの家庭環境や生い立ち、仕事先での様子など、かなり詳細に描いてくれているので、これがまた見応えあります。

犯人を捜す系のドラマのほうがスリリングでサスペンス性はあるんだけど、あらかじめ犯人が分かっていて、その犯人の内側に迫るドラマも想像力を掻き立てられます。

構成的には「警視ステラ・ギブソン」のような感じです。「警視ステラ・ギブソン」はイケメン犯人をXファイルのスカリー刑事(ジリアン・アンダーソン)が追う話です。

ステラ・ギブソンの感想を読む

本作は、リタイアしたオッサン刑事と、オタクっぽいちょっとキモい系ナヨ男なので、ビジュアル的には落ちますが、リアリティさで言えば本作の勝ちです。

ホッジス刑事のキャラはかなり味わいがあります。たとえるならクリント・イーストウッドがよく演じるような、つむじが曲がった頑固で偏屈なオッサンを下品にしたキャラです。口も悪い。アイリッシュアクセントもあいまって、見ていると楽しいオッサンです。

キャラにはまったく文句がないのですが、いくらリタイアした刑事とはいえ、刑事としてあまり有能でないのが残念でした。オッサンなのでデジタルには弱いのかもしれないけれど、それにしたってもう少し何かできたろ。

ホッジスはおろか、本作の警官たちも15人も殺したミスター・メルセデスの手がかりも得ることなく、しかも事件を放置状態という無能集団として描かれています。

ホッジスが手がかりを伝えようとしても、オバマはちっとも聞いてくれないし。最後に警察のお偉い女性がオバマと女性刑事に「リタイアしたホッジスがここまで追い詰めたっていうのに、お前らは何してやがんだ、この役立たずー」なんて叱責してスカッとしました。

サイコな犯人ブレイディ役も、生い立ちや母ちゃんとのアブナイ関係も描かれているので満足できました。ふつうの青年なんだけど、職場でちょっと「変」と周りに思われているあの感じがうまく再現できていました。

ブレイディが職場の友人のルーに優しさのようなものを見せたりするんで、サイコキラーにも優しい一面があるとか言おうとするんじゃないかと思って心配しましたが、最終話のルーとのやり取りでサイコキラーはやっぱりサイコキラーだと実感できる展開で安心しました。

ただ不思議なことにメルセデス事件のあと2年間、ブレイディは活動を休止しているんですよね。ドラマで描かれているブレイディの精神状態なんかを見ると、とても休止できるような感じではなかったんだけどな。

そしてブレイディがリタイアしたビールっ腹のサンタクロースに興味を持つ理由が説明されていないのでよく分からない。事件を担当した刑事という説明しかないので、コネクションが感じられない。そこだけは残念。

 

本ドラマの立役者

ホッジスとブレイディのキャラの良さについて語るのはここまでにして、本ドラマの功労者はなんといってもブレイディのアル中の母を演じたケリー・リンチと、ブレイディの上司です。

ケリー・リンチって若い人知らないんじゃないの?ブレイディの母として出てきた時に、私も思いだせずに「ん・・・?なんか見たことあるなぁ・・・誰だっけ」若い時は綺麗だったであろうことを彷彿とさせる顔・・・そしたらオープニングにケリー・リンチの名前があるじゃないですか。

ケリー姐さん、なんと御年59歳。アラシックス。カクテル、ロードハウスなど80年代後半に活躍していました。ケリー・リンチといえば、なんといってもドラッグストア・カウボーイ。マット・ディロンと映ってるこの写真が妙にクールに見えて、憧れたもんだ。

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ケリー・リンチって実は「氷の微笑」を打診されてたんだよね。でも断って、シャロン・ストーンがやることになった。どちらも正統派の美人ですね。

ケリー・リンチを最後にスクリーンで見たのは、チャーリーズ・エンジェルだったわ。

そんなアシックスのケリー・リンチ、アル中で息子とやりたがる母ちゃんを体を張って演じていました。還暦アメリカ人のこの格好は度肝を抜かれました。

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昔から胸がないケリーなリンチ。

でも腕はムキムキ。

そんな彼女が演じるブレイディの母ちゃんは、冒頭のメルセデスでひき殺すシーンを超える迫力と恐ろしさで殺鼠剤の危険度を実演します。このシーン、久しぶりにトラウマになったやないかい。

人類がネズ公殺傷に対する考えを改めるきっかけになるかもしれないそれはそれは恐ろしい光景を、アラシックス美女ケリーなリンチが演じるなんて、明日太陽が西から登っても私は驚かない。それくらいインパクトがある。

もう一人の立役者はブレイディの上司で、最最初は視聴者でさえイライラさせてくれます。この上司にかかれば、オバマさえフォーリング・ダウンのマイケル・ダグラス化でするでしょう。

ところがなぜか途中からこの上司の絶え間ないハラスメントが楽しくなってくるこの不思議感。このドラマの真の立役者はこの人なんじゃないかと思ったくらい感心したのであります。

この上司の存在は、ブレイディに同情をさそうにも一役買うだけでなく、警察が血眼になって探しているマスマーダラーが自宅に侵入して、手にハンマーを持ちながら神妙な面持ちで自分を見ながらブツブツ言っているけれども、実は大した状況じゃないのかもしれない、なんていう希望と明るさを与えてくれるのだ。